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平成28年度栃木県議会第339回通常会議-09月26日-02号

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  1. 栃木県議会 2016-09-26
    平成28年度栃木県議会第339回通常会議-09月26日-02号


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    平成28年度栃木県議会第339回通常会議-09月26日-02号平成28年度栃木県議会第339回通常会議 〇九月二十六日(月曜日)  出席議員 四十八名    一 番   中   屋       大    二 番   平   木   ち さ こ    三 番   船   山   幸   雄    四 番   塩   田   ひ と し    五 番   齋   藤   剛   郎    六 番   増   山   敬   之    八 番   吉   羽       茂    九 番   加   藤   正   一    十 番   野   村   せ つ 子   十一 番   早   川   け い こ   十二 番   相   馬   政   二   十三 番   西   村   し ん じ   十四 番   野   澤   和   一   十五 番   阿   部   博   美   十六 番   池   田       忠   十七 番   亀   田       清
      十八 番   白   石   資   隆   十九 番   関   谷   暢   之   二十 番   中   島       宏   二十一番   日 向 野   義   幸   二十二番   横   松   盛   人   二十三番   渡   辺   幸   子   二十四番   斉   藤   孝   明   二十五番   松   井   正   一   二十六番   山   田   み や こ   二十七番   保   母   欽 一 郎   二十八番   一   木   弘   司   二十九番   山   口   恒   夫   三十 番   阿   部   寿   一   三十一番   金   子       裕   三十二番   佐   藤       良   三十三番   山   形   修   治   三十四番   若   林   和   雄   三十五番   五 十 嵐       清   三十六番   岩   崎       信   三十七番   小   林   幹   夫   三十八番   五 月 女   裕 久 彦   三十九番   相   馬   憲   一   四十 番   花   塚   隆   志   四十一番   早   川   尚   秀   四十三番   佐   藤       栄   四十四番   神   谷   幸   伸   四十五番   螺   良   昭   人   四十六番   三   森   文   徳   四十七番   石   坂   真   一   四十八番   木   村   好   文   五十 番   髙   橋   文   吉   五十二番   板   橋   一   好  欠席議員 二 名    七 番   守   田   浩   樹   五十一番   平   池   秀   光 地方自治法第百二十一条の規定による出席要求によって出席した者                   知事       福   田   富   一                   副知事      鈴   木   誠   一                   副知事      赤   松   俊   彦                   総合政策部長   北   村   一   郎                   経営管理部長   井   澤   晃 太 郎                   県民生活部長   和   田   裕   二                   環境森林部長   金   田   尊   男                   保健福祉部長   近   藤   真   寿                   産業労働観光部長                            香   川   眞   史                   農政部長     小   林   延   年                   県土整備部長   印   南   洋   之                   会計管理者会計局長                            冨   田   哲   夫                   企業局長     淺   香   達   夫                   総合政策部次長総合政策課長                            沼   尾   正   史                   財政課長     安   藤   高   広                   教育長      宇   田   貞   夫                   代表監査委員   石   﨑       均                   人事委員会事務局長                            石   塚       勉                   労働委員会事務局長                            中   里   文   計                   警察本部長    松   岡   亮   介                   選挙管理委員会委員長                            小   林   恒   夫             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎原山光史 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は四十八名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――  午前十時 開議 ○五月女裕久彦 議長 ただいまから本日の会議を開きます。  初めに、諸般の事項を事務局長に報告させます。 ◎原山光史 事務局長 報告いたします。  一 議場における説明のための出席要求について  地方自治法第百二十一条の規定により、本日の斉藤孝明議員の発言に対する説明のため、選挙管理委員会小林恒夫委員長の出席を求めましたので、ご報告申し上げます。 ○五月女裕久彦 議長 日程第一 第一号議案から第八号議案まで、第十三号議案から第二十一号議案まで及び認定第一号から認定第六号までを一括して議題とし、質疑を行います。  この際、お諮りいたします。質疑とあわせて県の一般事務に関する質問を行うことにご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○五月女裕久彦 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。  発言通告者に対し、発言を許します。螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 第三百三十九回通常会議に当たりまして、とちぎ自民党議員会を代表して質問させていただきます。  本日は、来るべき知事選挙に立候補を表明された福田知事の基本的な政治姿勢と、地方創生を初めとして、政策の基本方針として掲げた五つの柱に沿って質問してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。  先月からのブラジル・リオデジャネイロのオリンピック・パラリンピックにおいて、萩野選手が金、銀、銅メダル各一個を獲得し、栃木県民栄誉賞を、髙藤選手と海老沼選手がそれぞれ銅メダルを、清水選手と眞田選手がそれぞれ入賞されたということで、栃木県スポーツ功労賞を授与されることになりました。本県はもとより、日本中に感動をもたらしました。  また、夏の全国高校野球選手権大会で作新学院が五十四年ぶり二度目の優勝を果たし、栃木県スポーツ功労賞を受賞しました。  四年後の東京オリンピックパラリンピックでも、本県出身者のさらなる活躍が期待され、さらには、その二年後に本県で行われる第七十七回国民体育大会での本県選手団の活躍につなげていけたら、栃木の知名度も上がり、全国的に本県の実力が知れ渡るだけでなく、県内に元気と活力があふれるものと期待しているのは、私だけではないと思います。  これまで本県は、福田県政のもと、ものづくり、観光、農林業の分野で着実に発展を遂げてきましたが、この四年間を見れば、東日本大震災の困難を乗り越え、一人当たりの県民所得を全国五位に引き上げるなど、さらなる成長を遂げてまいりました。  しかしながら、本県も他県同様、人口減少期に入った現在、地方創生の取り組みは待ったなしの状況にあり、少子高齢化を初めとする難しい課題にスピード感を持って的確に対応していくことが、「人も地域も真に輝く 魅力あふれる元気な〝とちぎ"」づくりの重要な鍵となります。  そうした中で、福田知事は、六月に四選を目指して次期知事選挙に立候補することを表明されました。内外に難問が山積する厳しい社会情勢の中、リーダーとして栃木県のかじ取りをしていこうと力強い決断をされた知事に、改めて敬意を表します。我がとちぎ自民党議員会は、これまでも全面的に知事を支援してまいりましたが、県民のために真摯に政策に取り組む知事の当選に向け、全力で支援する決意であります。  そこで、来るべき知事選挙に立候補を表明された福田知事の新たなとちぎづくりにかける熱い思いを伺ってまいります。  まず初めに、知事のこの四年間の総括と四選出馬に向けた所信について、知事にお伺いいたします。  さて、福田知事の三期目の四年間に、まずは東日本大震災からの復興がありました。知事は、農産物や観光の風評被害対策など、県民生活に大きな影響を与えた数々の難問に果敢に挑み、その成果を上げてきたことは、誰もが認めるところであります。  さらに、災害に関連して申し上げれば、農林業に甚大な被害が発生した大雪災害や、昨年九月の関東・東北豪雨災害においては、迅速な復旧に努められました。  また、とちぎづくりの原点である人づくりを着実に推進しながら、将来に向け、本県のさらなる発展につながる企業誘致や新たな産業の育成を初め、県民の暮らしの安全・安心の確保などにも積極的に取り組む一方で、行財政改革の取り組みも着実に実行するなど、福田知事が県政運営に当たる姿勢を、多くの県民は安心感を持って頼もしく見ていたのではないかと思います。  四年前の三期目の選挙に当たっては、「新とみかず政策宣言・二〇一二」を策定し、「〝チームとちぎ"の力で元気度日本一に!」をスローガンに、災害対応、人づくり、安全・安心、健康、成長力、環境、基盤づくりの七つの柱を掲げて、誇れるふるさととちぎづくりに取り組んでまいりました。  そこで、まず、前回の選挙で県民に約束したマニフェストの達成状況など、四年間を総括してどのように評価しているか、福田知事にお伺いいたします。  また、知事は、権力の座に長期に居続けると必ず腐敗するという意味の「権腐十年」を信条としており、出馬に当たっては慎重に自省された上で、人口減少問題の克服という喫緊の課題にみずからが対応すべきとの責任感などから、出馬を決意したと伺っております。  知事は、六月に行った立候補表明の際に、地方創生は緒についたところであり、「元気なとちぎ」を実現するため、「ひとが輝く」、「成長力アップ」、「健康・安心」、「強くしなやか」、「未来への礎を築く」の五つの基本方針を掲げましたが、とちぎ創生の取り組みはもとより、四年後の東京オリンピックパラリンピック、さらに、その二年後の本県開催の国民体育大会を見据え、本県を一層の発展へ導こうとする知事の強い決意を感じました。  次の四年間は、とちぎ創生15(いちご)戦略やとちぎ元気発信プランに掲げた各種のプロジェクトなどの取り組みの評価、すなわちとちぎ創生の成果も問われる重要な期間になると思われます。  そこで、こうした中、出馬を決意された知事に改めて四選に臨む所信をお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇
    ◎福田富一 知事 ただいまの螺良議員のご質問にお答えいたします。まず、激励を頂戴し、御礼を申し上げます。私は、知事に就任以来、対話と挑戦、そして市町村重視を信念に県政の運営に当たってまいりました。この間、足利銀行問題、リーマンショックへの対応、東日本大震災、昨年の関東・東北豪雨災害の復旧・復興など、歴史的な難題に全力で立ち向かってまいりました。  三期目を振り返りますと、まず、災害に強いとちぎづくり条例を制定したほか、本県独自の被災者生活再建支援制度の創設や県有施設の耐震化を推進してまいりました。  また、高等特別支援学校宇都宮青葉高等学園」の開校、ねんりんピック栃木二〇一四の開催、第三子以降の保育料免除対象の未就学児全般への拡大等に鋭意取り組みました。  さらに、産業分野では、技能五輪全国大会全国アビリンピックの平成二十九年度開催決定、「スカイベリー」の本格出荷、英国大使館別荘記念公園の開園、デスティネーションキャンペーンの平成三十年春の開催決定など、本県のさらなる成長に向け、確かな道筋をつけることができました。  一方で、財政健全化取組方針に基づき、平成二十六年度以降、収支均衡予算を継続して達成したほか、とちぎ行革プラン二〇一六を策定するなど、選択と集中による県政運営に努めてまいりました。  また、「とちぎの百様」の選定・活用による郷土愛の醸成や、「ベリーグッド ローカル とちぎ」による戦略的な発信など、本県のブランド力向上に取り組んできたところでもあります。  このように、県民の皆様にお示ししました政策集「新とみかず政策宣言・二〇一二」において、新しく取り組むこととした五十一項目については、全てに関して、おかげさまで実現あるいは実現に向けて着手することができました。  現在、国を挙げて人口減少問題の克服に向けた取り組みが展開され、各自治体が地方創生の実現に向け知恵を絞る中、本県も立ちどまることなく、戦略的にかつスピード感を持って取り組んでいく必要があります。  また、四年後の東京オリンピックパラリンピック、さらには、その先に控える国民体育大会等を本県のさらなる発展の絶好の機会と捉え、新たなステージに高めていく実行力が求められます。そのため、豊かな自然を初め、歴史・文化や地域の伝統、これまで築き上げてきた成果等、本県のたくさんの本物に磨きをかけ、それらを国内外に広く発信することで、あらゆる分野で選ばれるとちぎを実現していく必要があると考えております。  四選出馬を決意するに当たりましては、私自身が信条としている「権腐十年」へのこだわりがありました。しかし、多くの皆様から出馬要請をいただいたことを重く受けとめた上で、「権腐十年」をより深く胸に刻み、みずからを律し、栃木県のために全力を尽くすことを県民の皆様にお約束して、四度目の審判を仰ごうと決意したところでございます。  元気な栃木の実現に向け、まず、本県発展の大きな鍵となるとちぎ創生の基本は人づくりにありますことから、本県の未来を担う個性豊かな人材を育て、誰もが能力を発揮して活躍できる、人が輝くとちぎづくりを進めてまいりたいと考えております。  次に、本県の成長力アップに向け、本県の強みを生かし、農林業の成長産業化や戦略的な企業誘致、観光振興等に取り組み、全国から本県への人の流れを生み出してまいります。  また、県民の健康づくりや人口減少社会に適応した地域社会の形成など、生涯にわたり健康で安心して暮らすことのできるとちぎづくりを進めてまいります。  さらに、防災、環境保全、持続可能なエネルギーなど、強くしなやかな県土づくりのための取り組みを推進するとともに、健全な財政基盤と強固な推進体制の確立に努めてまいる考えであります。  多くの皆様からさらなるご支持を得られますならば、これからの新たな四年間、選ばれるとちぎの実現に向け、私みずからがオール栃木の先頭に立ち、ふるさと栃木のさらなる発展に全力を尽くしてまいります。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 再質問させていただきます。知事は、従来より市町村重視、県民重視の姿勢で取り組んでまいったわけでありますが、特にとちぎ元気フォーラムに関しては、直接県民の声が聞けるいい機会であったのではないかと思うところでございます。  元気フォーラムを通じて、この四年間に県民との直接の対話の中で、知事の政治姿勢に刻まれたものがあるか、また、県民の声をどう受けとめてきたか、再質問させていただきます。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 ただいまの再質問にお答えいたします。知事就任以来、百十六回の元気フォーラムを開催しまして、一万三千名を超える県民の方々と意見交換をしてまいりました。その中で、例えば自主防災組織がしっかり地域にでき上がって、ひとり暮らしのご老人であっても、身内の連絡先や飲んでいる薬の内容を冷蔵庫に張りつけておいて、いざというときには誰かが行って、それを見て連絡するというようなシステムをつくっている、このような目からうろこの話も聞きまして、こういういい制度は全県に広めていくべきであると、職員にも指示しているところであります。  地域のフォーラムにおきましては、六十五歳以上の方が大半でございまして、もっと若い人たちと意見交換をというご意見もいただき、中学生、高校生、大学生などとも意見交換をしてまいりました。特に子供たちが将来の栃木、それから自分の夢・希望をしっかり持って、特にブランドづくりなどについては、非常に関心を持ちながら、ブランド力を高めるための提案なども学生からもらってきたところであります。それらのご意見に真摯に応えながら取り組んでまいりたいと思います。  女性の活躍につきましても、このフォーラムに出られたのは、子供を落としたところが布団の上だったからですというような、子育ての大きな深い悩みを抱えている人が大勢いることも知りまして、女性の活躍がしっかりできる社会をつくっていかなければならないという思いを新たにしたところであります。  さまざまな意見をいただきましたが、これからの施策の立案、改善などに役立てながら、引き続き県民の皆様方の意見に真摯に耳を傾け、さまざまな県政の課題にスピード感を持って取り組んでまいりたいと考えているところであります。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 次に、地方創生への取り組みについて、知事にお伺いいたします。地方創生の取り組みが全国各地で展開され、自治体間の知恵比べの時代を迎えており、それぞれの地域がそれぞれの特色をいかに生かしていくかに考えをめぐらすことが求められています。とちぎ創生15(いちご)戦略におきましても、本県の強み、可能性を生かすとされており、本県の持つポテンシャルを可能な限り生かした施策を積極的に推進していくべきだと考えます。  県内の全市町でも総合戦略を策定し、地方創生に取り組んでいるところでありますが、県全体で地方創生の取り組みの効果を上げていく上では、県と市町は車の両輪の関係にあると言え、県とともに、市町においても、それぞれが持つ強みを生かした取り組みの実効性をより高めていくことが重要であります。  また、今後ますます激しくなる地域間競争を勝ち抜いていくためには、官民の知恵と力を結集し、加えて、国の交付金の積極的活用などにより、地方創生の取り組みをさらに深化させる必要があります。  そこで、地方創生の実行段階において、知事は、栃木の地方創生にどのように取り組んでいくのか、その決意を伺います。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。総合戦略の実行段階においては、とちぎ創生15(いちご)戦略に掲げた取り組みを果断に実行し、着実な成果を上げ、市町と力を合わせて県全体で地方創生への力強い潮流をつくっていくことが求められております。そのためには、事業の選択と集中を図りながら財源の確保に努めるとともに、効果的な事業の展開に行政以外の知見も活用するなど、戦略の実効性を高める仕組みが重要であります。  本県全体で地方創生の取り組みを加速させるためには、市町の総合戦略においても、それぞれの特徴を生かし、より実効性の高い施策が求められることから、とちぎ地方創生推進会議などを活用し、情報共有や意見交換を通じ、国の交付金への対応や広域的な課題等について連携して取り組んでいるところであります。  また、とちぎ創生15(いちご)戦略の取り組みの評価、検証に関し、評価会議におきまして専門的見地から意見を聴取し、実効性を高め、改善を図っていくこととしております。  今年度の事業展開におきましては、国の地方創生関連交付金を活用し、ものづくり県としての産業集積等を生かした先端ものづくり産業の技術力強化や、茨城・群馬両県と連携した観光誘客等により、地域産業の競争力強化を図り、安定した仕事をつくる取り組み等を実施しているほか、先月には、若者にとって魅力ある農林業成長産業化計画など、五つの地域再生計画について国の認定を得たところであります。  また、先ごろ閣議決定されました、未来への投資を実現する経済対策において新設された地方創生拠点整備交付金につきましても、今後、積極的な活用に努め、地方創生のさらなる推進を図ってまいります。  昨年十月の国勢調査では、本県の人口減少は加速化しており、また、東京圏への一極集中が顕著となっております。今後、本県の強みや特徴を生かし、戦略的かつ効果的な施策をスピード感を持って着実に実行していくことが必要不可欠であります。  このため、市町との連携の強化はもとより、さまざまな分野におきまして、民間企業のノウハウ等を活用した取り組みを展開するほか、地域の第一線で先駆的な活動に取り組む方々の意見を施策に反映していくなど、あらゆる主体の英知を結集し、オール栃木体制でとちぎ創生15(いちご)戦略の着実な推進を図り、本県の地方創生のさらなる深化に全力で取り組んでまいります。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 知事に再質問させていただきます。地方創生ということで、地方創生加速化交付金を使ってツール・ド・とちぎを行うわけでありますが、この事業はNPOと県、市町、関係団体等で実行委員会をつくって、オール栃木で臨む事業になります。このツール・ド・とちぎは、県内外に栃木をPRするとともに、本県に多くのお客さんを呼び込むことができる絶好の機会だと思っています。  残り半年となりましたが、このツール・ド・とちぎの成功に向けて、県はどのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。ツール・ド・とちぎの開催は、ご案内のとおり二年をかけて全市町をめぐるという全国に先駆けた取り組みであります。観光誘客あるいは地方経済の活性化、栃木の新たな魅力の発信等につながるなど、栃木の地方創生推進の絶好の機会となると考えております。  去る九月九日に開催されましたツール・ド・とちぎ実行委員会では、コース案の提示やロゴマークの発表など、大会準備に関する進捗状況が報告されました。今後、交通規制に伴います地域住民や事業所の理解促進、安全にレースを行うための立哨員の確保、さらには、選手、観客にまた来たいと思ってもらえるようなおもてなしの実現など、全県を挙げた準備が不可欠でありますことから、県としても大会の成功に向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。  なお、初めての試みでございますので、地域でどのように対応したらいいかわからないというのが実態ではないかと思っておりますので、北海道あるいは海外でのレース展開などにおける地域のおもてなしの仕方についても、映像や写真などで地域の皆様方にお示しして、それだったら自分たちはどうできるかということを考えてもらいながら、せっかくのレースでありますので、地域全体で盛り上げる、待っているのではなくて、自分たちがお客さんを迎えるということの取り組みを強化してもらえるよう進めてまいりたいと考えております。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 次に、知事が六月の出馬表明で掲げた、ひとが輝く「元気なとちぎ」についてお伺いいたします。人が集い、人が育ち、人が輝き、誰もが能力を発揮して笑顔になれるようにするためには、大きな流れである人口減少に歯どめをかける少子化対策が必要であり、早急に取り組むべき課題であると考えます。  そのためには、本県に働く場があって、結婚し、子供を産み育てやすいような、若い人にとって魅力のある環境をつくる必要があります。働きながら子育てをしていくとなると、待機児童の問題にあらわれているように、保育士不足や保育所、認定こども園などの環境整備の問題など、困難な問題が生じるわけでありますが、仕事と子育ての両立に係る負担感や子育ての負担感を緩和・除去し、安心して子育てができるように、これらの問題を解消すべくさまざまな取り組みを行う必要があります。  少子化の大きな要因として、未婚化、晩婚化、晩産化の進行があり、少子化の流れに歯どめをかけるためには、社会全体で結婚、妊娠・出産、子育てを切れ目なく支援するとともに、子育てを応援する意識を共有した環境づくりが必要と考えます。とりわけ子育ての前段となる結婚については、個人の価値観等に基づく人生上の選択であるとして、これまで行政のかかわりは少なかったところでありますが、少子化の進む現代においては、結婚を望む若者の希望をかなえるための支援を積極的に行っていくべきと考えます。  県では、本年十二月、新たにマッチングシステムによる会員登録制のパートナー探しを行う、仮称でありますが、とちぎ結婚サポートセンターを設置するということであり、こうした取り組みに見られるように、一歩踏み込んだ対策をとっていくことが重要であると考えており、少子化対策に向けた知事の強い思いを感じることができます。  そこで、結婚支援を初めとして、少子化対策に取り組む知事の思いをお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。少子高齢化が急速に進行し、本格的な人口減少時代を迎える中、本県が将来にわたり活力ある社会を維持していくことが、最重要かつ喫緊の課題となっております。  こうしたことを踏まえ、昨年十月、とちぎ創生15(いちご)戦略を策定し、人口減少問題の克服と地域の活力の維持を目指すことといたしました。とりわけ多くの若者が結婚を望んでいることから、結婚、妊娠・出産、子育ての希望をかなえることを克服戦略の重要な柱に位置づけ、結婚支援を初め、待機児童の解消や子供の貧困対策など、さまざまな支援策を積極的に推進していく考えであります。  結婚支援につきましては、これまで県や市町、関係団体で構成するとちぎ未来クラブにおいてさまざまな事業に取り組み、地域で支援の輪が広がるなど、一定の成果が上がっておりますが、さらなる成果を目指し、市町等と連携し、従来の枠組みを超えた本格的な結婚支援に取り組むべき時期であると考え、会員登録制のシステムによりマッチングを行う本県の総合的な結婚支援窓口を、とちぎ結婚支援センターとして新たに開設することといたしました。  センターにつきましては、できるだけ多くの方に利用してもらいたいという思いから、交通アクセスがよく利便性の高い宇都宮市大通り沿いのオフィスビル内に設置し、来年一月から最新のシステムを導入した効果的なマッチングサービスを開始いたします。  また、専門の結婚相談員による結婚・交際に関する助言や、市町や結婚サポーター等と連携した出会いの場のイベントの開催など、結婚支援に係る多様なサービスを一元的に実施することで、システムによるマッチングとの相乗効果を最大限発揮できるよう努めてまいりたいと考えております。  加えて、早期にマッチングが行えるよう、登録会員の確保に向け、センターの設置に先駆けて来月から県ホームページなどで紹介するほか、テレビやラジオ、タウン誌等のさまざまな媒体を活用した積極的な周知、広報も順次実施してまいります。  さらには、市町や企業等との協働により、新婚世帯や出産を控えた方を対象としたさまざまなサービスが受けられる仕組みの整備など新たな取り組みも検討し、本県の妊娠・出産、子育て環境のより一層の充実・強化を図ってまいりたいと考えております。  今後とも、若者の希望の実現に向け、市町や関係団体、企業等と連携しながら、オール栃木体制で少子化対策に全力で取り組んでまいります。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 大通り沿いに設置するというのは、大変すばらしいことだと思います。ぜひ成果を上げていただきたいと思います。  次に、出馬表明で掲げた成長力アップ「元気なとちぎ」についてお伺いいたします。多様な産業が地力を蓄えて国内外に力強く羽ばたいていき、多くの人を引きつけるためには、地元中小企業等が活性化するための方策を講じることはもちろんですが、人口減少が進行する中にあっては、交流人口による活性化、すなわち観光政策を強力に進めることが重要です。  来年十一月には、若者の技能レベル日本一を争う技能五輪全国大会と障害者の技能競技大会である全国アビリンピックが本県で開催されます。この全国大会を皮切りに、全国規模以上のイベントが続くことになります。平成三十年春にはデスティネーションキャンペーン(DC)があり、その前年である来年にはプレDC、その翌年の平成三十一年にはアフターDCがあります。また、ラグビーのワールドカップ二〇一九も開催予定でありますし、平成三十二年には東京オリンピックパラリンピック、平成三十三年はプレ国体、平成三十四年は国体本番と今後六年間は、全国や世界から大勢の人が本県を訪れる大きなイベントが続きます。  デスティネーションキャンペーンというのは、JRグループ六社と地域、すなわち地方公共団体、住民、企業などが協働で取り組む国内最大規模のキャンペーンで、地域の活性化に資することが大きな点で、各都道府県での誘致合戦が激しく行われる中で、福田知事にあっては、関係各方面への働きかけなどを積極的に行った結果、めでたく平成三十年春のデスティネーションキャンペーンに関し、本県への指定にこぎつけたものであります。この成功は、知事の強力なリーダーシップと熱意によるものと考えています。  民間の調査機関が行った平成二十七年の地域ブランド調査魅力度四十七都道府県ランキングで、前年の四十一位から三十五位に躍進した理由としては、知事のテレビ出演といったメディアへの露出に加え、日光東照宮の四百年式年大祭といった大きなイベントがあり、多くの人が本県を訪れ、魅力を感じてもらえたことが挙げられます。  大きなイベントは、本県を知ってもらって、魅力をわかってもらえる効果がそれほど絶大であります。その意味で、これだけのイベントが続くことはそうそうあるわけではなく、本県をアピールできる絶好の機会であると言えます。この期間にどれだけ効果的に本県の魅力を知ってもらえるかが、その後の本県の発展に大きくかかわってくるとも言えます。  これらの大会等の参加者はもちろんのこと、イベントを機に来県する人々に、本県の魅力を満喫してもらうためにどのようにしたらよいか、県、市町、観光協会、観光事業者、交通事業者、施設関係者、競技団体などが一体となって知恵を絞って、観光施策の充実のためにできることを考えていく必要があると思います。  さらに重要なことは、これらのイベントを一過性のものにしないということであります。イベントがあれば黙っていてもそれなりの人は来県するので、イベント期間終了後に、また来てみたいと思ってもらえるような仕掛けづくりをすることが必要であります。長く続くリピーターや栃木ファンをいかにふやせるかが重要となります。  そこで、イベント終了後も多くの人が来県し、満足を得られ、本県の発展に資するよう、観光施策の充実に向けどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。観光は裾野が広く、幅広い分野に経済効果が波及する重要な産業であり、人口減少の中にあって、将来にわたり地域の活力を維持していくためにも、本県観光のさらなる振興を図り、交流人口の増加による「「地域(まち)・ひと・しごと」づくり」の推進が重要でございます。  平成三十年春のデスティネーションキャンペーン(DC)の開催は、本県の観光振興の大きな起爆剤となることから、その先の東京オリンピックパラリンピックや国体開催も見据え、観光立県とちぎの実現につながるようしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。  このため、まずはDCの成功に向け、本県を訪れるお客様に心から満足してもらえるよう、各観光エリアにおいて、自然や歴史・文化など、本県が誇る観光資源のさらなる掘り起こしと磨き上げやおもてなしの向上に、地域が一体となって取り組んでいく必要があります。  そして、こうした地域主体の取り組みから得られる成果を、DCの遺産、いわゆるDCレガシーとして、東京オリンピックパラリンピックや国体にも生かしながら、本県の魅力を国内外に切れ目なく発信してまいりたいと考えております。  さらに、おもてなし日本一を目指す条例を制定し、お客様に栃木県に来てよかった、また来たいと思ってもらえるよう、県民総参加によるおもてなし向上運動を積極的に展開するなど、観光客でにぎわう観光立県とちぎの実現に向け、多くの人を引きつけるとちぎづくりを目指してまいります。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 知事に再質問させていただきます。ただいまおもてなし日本一を目指すというお話があったわけでありますが、先日、マスコミの報道では、おもてなし条例の制定に向けて進んでいくというような話も報道されました。調べてみましたら、おもてなし条例は、近県の茨城県、また山形県、山梨県などで制定されているところであります。  知事は、おもてなし条例を検討しているようでありますが、どのようなものを考えているのかお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。まず、この条例の制定につきましては、平成二十九年の早い段階での制定を目指して準備をしてまいりたいと考えております。  ところで、知事に就任して間もないころは、温泉場に泊まった県外のお客さんから、「もう栃木には二度と行かない。旅館の従業員は、お客は来て当たり前だと思っている。」という怒りの手紙、それから、宇都宮のギョーザを食べに来た人から、「場所がわからないのでタクシーに乗ったけれども、そんな近いところは歩いていけと言われて、道案内もしてくれなかった。宇都宮にはもうギョーザを食いには行かないよ。」と、こういうお叱りの連絡が何度かありましたが、最近は少なくなりました。しかしながら、おもてなしはまだまだ不十分な状況でございます。  そこで、この理念を県民の皆様としっかり共有していく必要がありますことから、一人一人がみずからできることを喜んで実践する環境づくりあるいは郷土愛の醸成を図っていく必要があると考えております。条例の制定に当たりましては、オール栃木で実現に向けて取り組めるものとしてまいりたいと考えております。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 観光振興に関する条例は、全国で三十都道府県が制定していますが、「おもてなし」という名前が入っているのは、私が調べたところでは五県程度であります。そんな中で、栃木県ならではの特色ある条例、そしてまた、それに関連する施策を講じていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。要望といたします。  次に、産業労働観光部長に再質問いたします。技能五輪全国大会全国アビリンピックにおいて、本県のものづくり県としての実力を全国にアピールしていくためには、大会で少しでも上位入賞者をふやすことが必要であります。  そこで、来年の開催まで余り時間もない中で、効果的に効率よく選手を育成する必要があると考えますが、どのように取り組んでいくのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 香川眞史産業労働観光部長。 ◎香川眞史 産業労働観光部長 ただいまの再質問にお答えいたします。来月、山形県で技能五輪全国大会全国アビリンピックが行われますが、本県からは技能五輪に五十名、アビリンピックに十八名と、かつてない選手団を送り込むことができることとなりました。  しかし、四十一の職種と二十の種目ということで、基本となる選手の育成がまだまだ大変でありまして、レベル的に技能五輪は、技能検定の二級を持っている方が一級の問題に立ち向かうようなハイレベルでございます。  ご指摘のとおり、大企業のメーカーには、例えば愛知県や茨城県などに養成所があるということで、養成所でしっかり訓練をしているところがあります。中小企業の方も一生懸命やっていただける部分がありまして、かつてメダルを取った方や指導者の方を招いたり、あるいは合同で研修会をしたり、県議会からもいろいろな形でご支援をいただいています。  そういった形で、開催まで四百日余りになりましたが、しっかりメダルが取れて、多くの職種・種目に参加できるように努めてまいりたいと思います。
    五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 産業労働観光部長に再質問させていただきます。先日、「シン・ゴジラ」という映画を見てまいりました。その中で佐野市とか、また、宇都宮市内でも、うちの近くの大いちょう通り、上河原通りなどを通行どめにしてゴジラの撮影が行われましたし、ここ栃木県庁舎でも、議会棟は何と首相官邸として使われたわけであります。  このような、栃木県フィルムコミッションなどの協力によって撮影された映画やテレビの映像を、積極的にデスティネーションキャンペーンや県のPRに取り入れていくことも有効なのではないかと思っております。産業労働観光部長のお考えをお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 香川眞史産業労働観光部長。 ◎香川眞史 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。「シン・ゴジラ」は、地元の自治会や警察本部の協力をいただきまして、ゴジラに襲われて逃げる役は栃木県民なのですが――映画では東京都民ということになっているのですが――地元には大変お世話になりました。  やはり経済効果はかなり高いと言えます。今、人気のある「ちはやふる」も、足利市に畳のある武道館を貸していただきましたが、ややもすると撮った場所が栃木県ということはなかなか出てこない部分があります。それを今後いかに進めていくか。足利市では「バンクーバーの朝日」などほかにもいろいろあります。そういった魅力をいろいろなところで、栃木県にはこういういい場所があることを知らしめていくことは、まさにデスティネーションキャンペーンにつながる部分だと思いますので、頑張りたいと思います。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 次に、出馬表明で掲げた健康・安心「元気なとちぎ」について、二点お伺いします。生涯にわたり健康で安心して暮らすことができる郷土をつくるためには、地域包括ケアシステムの構築により、みんなで支え合う仕組みをつくっていくことが重要であると考えますので、初めに、地域包括ケアシステムについてお伺いいたします。  団塊の世代全てが後期高齢者となる二〇二五年を目途に、重度な要介護状態になっても、住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供されるシステムをつくろうというのが、地域包括ケアシステムの構築であります。高齢者の割合が増大することにより、さまざまな問題が生じることになりますが、社会全体で高齢者を支えようとする仕組みの一つであります。  県ではこれまで、広域健康福祉センターを在宅医療推進支援センターと位置づけ、地域の医療・介護関係者の連携強化などを図るほか、地域包括支援センターの機能強化の支援、担い手育成のための支援など、さまざまな取り組みを行ってきましたが、地域包括ケアシステムの構築はなかなか進展していないように思えます。その理由にはさまざまなものがあります。  地域包括ケアシステムの構築のためには、医療機関、介護施設、訪問看護ステーション、行政機関(市町、県)といった地域のさまざまな主体が連携し、在宅医療・介護の連携推進を図る必要がありますが、効果的な連携の構築に時間がかかっています。県は、市町をどのように支援していくのか、また、担い手となる看護師や介護士等の育成・確保ができなかったり、効率性や採算性の点から事業者の参入がなく地域間で格差が生じたり、認知症対策も喫緊の課題だと思われます。  このように、地域包括ケアシステムの構築に当たっては、さまざまな問題がありますが、地域をともに支え、次代をつくるためにも避けて通れない問題であります。  そこで、地域の活力を維持するためにも、地域包括ケアシステムの推進を図る必要があると考えますが、この問題に取り組む知事の意気込みをお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。介護等が必要になっても、住みなれた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けられるよう、医療や介護等のサービスが受けられる体制、すなわち地域包括ケアシステムを構築することは、県民全ての願いであります。  私は、団塊の世代が全て七十五歳以上となる二〇二五年に向け、できるだけ早い時期に県内の体制を整えることができるよう、地域包括ケアシステムの構築を今年度スタートしたとちぎ元気発信プランにおける「暮らし安心健康戦略」の重点的取り組みとして位置づけ、積極的に推進することとしたところであります。  システム構築の中心的な役割は市町が担うことになりますが、構築にはさまざまな課題があり、医療・介護の連携や人材の育成・確保など県の果たすべき役割は大きいことから、その責務をしっかりと果たし、市町を積極的に支援してまいる考えであります。  特に、システムのかなめとなる医療・介護の連携には、医師、看護師はもとより、ケアマネジャー、介護福祉士等の多職種が連携していくことが不可欠であり、県医師会等との連携のもと、医療サイドからの積極的なアプローチが重要であると考えております。  このため県では、全ての市町で医療と介護の連携が構築できるよう、平成二十五年度に広域健康福祉センターに在宅医療推進支援センターを設置し、地域における医療・介護関係者相互の顔の見える関係づくりに取り組むとともに、平成二十七年度には、医療政策課内に在宅医療・介護連携担当を設置し、郡市医師会の協力を得ながら在宅医療連携拠点の整備を進めてきた結果、今年度内に県内全ての在宅医療圏で取り組みがスタートする運びとなりました。  また、地域包括ケアシステムの構築は、地域が互いに支え合う仕組みづくりでもありますことから、元気な高齢者やボランティアなど、地域の多様な主体による取り組みを促進するため、生活支援コーディネーターの養成等を行っているところであります。  さらに、認知症対策につきましても、かかりつけ医の対応力向上や市町の認知症初期集中支援チームの設置促進等に取り組むとともに、今年度は新たに、もの忘れ・認知症相談医制度を創設するほか、認知症疾患医療センターの拡充を図る予定であります。  今後とも、市町や関係団体と連携しながら、地域の特性に応じた地域包括ケアシステムの構築を推進し、栃木で暮らし、長生きしてよかったと思える社会の実現に全力で取り組んでまいります。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 保健福祉部長に再質問いたします。地域包括ケアシステムとなると、在宅での介護ということになります。そのような中で高齢者がふえていくと、救急搬送の必要性はますます増してくるかと思っています。  ここ十年間の資料を確認させていただいたのですが、救急車の出動回数は、平成十七年の六万八千三件から平成二十七年の七万八千五百七十件へと、十年間で約一五・五%の増加、また、覚知(一一九番通報受信)から現場に到着するまでの所要時間は六・四分から八・一分へと、約二六・六%の増加、覚知から病院収容までの所要時間は三十一・九分から四十・五分へと、約二七%の増加になっているということです。  社会全体が人口減少に向かっているといっても、地域包括ケアシステムを進めていくわけでありますから、救急車での対応を必要とする高齢者の数はふえていくのではないか。そうなると、ますます覚知から病院収容までの時間が増加していくと考えられるわけでありますが、どのように救急医療体制の充実に取り組んでいくのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 近藤真寿保健福祉部長。 ◎近藤真寿 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。議員ご指摘のとおり、平成二十七年のデータによりますと、救急搬送された方の半数が高齢者となっていますし、高齢者が十年前と比べると一・四倍ふえており、しかも、三割は軽症患者というのが実態であります。  したがいまして、救急医療の適正利用を推進するためには、そういった高齢者の特性を踏まえて、いわゆるたくさんの病気を持っていて、症状が悪化すると救急車を呼ばざるを得ないという環境にある方がふえるということですので、その対策としては、患者の病状などがよくわかっており、いつでも相談ができるかかりつけ医を持ってもらう。  それと、先ほど知事の話もありましたが、ひとり暮らしのお年寄りの方が急に悪くなったときに、どのような薬を飲んでいるのか、どういう医療機関にかかっているのか、そういった情報をメモにして、例えば冷蔵庫などのわかりやすい場所に保管する。そういった取り組みにつきまして普及啓発を図ってまいりたいと思います。  それから、子供の救急医療では、電話相談事業で事前に相談した結果、救急車を呼ばなくて済んだ事例もかなり多いということから、大人の電話相談事業を来月十七日から、基本的に毎日十八時から二十二時まで、開始したいと思いますので、その周知も図りたいと思います。  それから、救急のベッドがあかないという問題があります。そうすると、患者が急性期を脱した後、回復期に、適正な病院もしくは施設、在宅に戻れるようなサポートも必要ということで、地域医療構想の推進、地域包括ケアでの医療・介護の連携を積極的に推進してまいりたいと思います。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 高齢者の場合、インフルエンザで運ばれた事例がありまして、救急車を呼ぶほどでもないかなと考えたのですが、病院に行ってみたら、足を骨折していたそうで、それがわからなかったりするわけです。そういった意味では、外傷性のものはいいのですが、例えば脳血栓だとか、脳に問題があった場合などに、四十・五分というのは非常に危険な所要時間かなと、改めて思うところであります。そういった意味では、高齢化社会を迎えるに当たっては、知恵を出していただきたいと思います。  次に、宇都宮市・芳賀町のLRT事業についてお伺いいたします。人口減少、少子高齢化が進む現代社会にあって、多くの人や企業から選ばれる地域となるためには、魅力あるまちづくりとともに、高齢者を含む全ての人にとって利用しやすい交通ネットワークづくりが大変重要であると考えています。  宇都宮市と芳賀町が進めているLRTを核としたまちづくりと公共交通ネットワークの構築は、両市町の魅力を高めるとともに、地域の人々はもとより、来訪者が安心して快適に移動することを可能にするものであり、LRTに対する期待は大きく膨らむところであります。  また、このLRTが、県央地域における東西の公共交通軸として導入されれば、既存の鉄道、幹線バスなどとの相互連携により、広域的な公共交通ネットワークの充実につながるものであります。  さらには、本県経済を支える鬼怒川左岸地域の工業団地へのアクセス強化にもつながるため、同地域のポテンシャルが向上し、産業経済活動の活性化が期待されます。  このように、LRTは宇都宮市や芳賀町にとどまらず、県央地域や本県経済の活性化に資する社会基盤となることから、早期実現に向け、事業の進捗に合わせた適切な支援をしていくべきと考えますが、今後どのように取り組むのか、知事にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。人口減少・超高齢社会が到来する中で、健康で安心して暮らすことのできる「元気なとちぎ」を実現していくためには、必要な都市機能や居住機能をバランスよく集積し、これらを公共交通などでつなぐコンパクトプラスネットワークのまちづくりを進めることが重要であり、宇都宮市と芳賀町が進めるLRTは、こうしたまちづくりの実現に大きな役割を果たすものと考えております。  また、このLRTの導入によりまして、公共交通による輸送能力の向上や定時性・速達性の確保が図られ、本県経済を牽引する鬼怒川左岸地域における立地企業の生産性を高めることとなり、本県がものづくり県としての強みを生かし、選ばれるとちぎとなるために大きな効果を発揮するものと期待を寄せております。  現在、LRTの整備に必要な法定手続が進められておりますが、両市町等が策定した軌道運送高度化実施計画につきましては、運輸審議会における審議の結果、認定することが妥当である旨答申がなされ、これを受けて、間もなく国がこの計画を認定する見込みと聞いております。  今後、両市町におきましては、答申を踏まえ、沿線の安全対策に万全を期すとともに、引き続き地域住民や地権者等への丁寧な説明に努めながら具体的な事業計画を策定し、事業実施に必要となる軌道敷設工事施行認可等の法定手続を進め、早期に事業着手できるよう取り組んでいただきたいと考えております。  県の支援のあり方につきましては、こうした具体的な事業計画の内容や法定手続等の状況を踏まえ、県民や県議会のご理解を得ながら適切に判断してまいります。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 次に、出馬表明で掲げた強くしなやか「元気なとちぎ」についてお伺いいたします。一年前の今ごろは、台風十八号から変わった低気圧の影響などにより線状降水帯が発生し、本県では記録的な豪雨に見舞われ、河川の氾濫、土砂災害による甚大な被害が生じ、議会においても被災状況を把握するために現地調査を実施するなど、その対応に追われました。  昨今の気象状況を見ると、地球温暖化など地球規模での気象状況の変化の影響で、局地的に集中した記録的な豪雨が観測されるなど、各地で異常気象が頻発しています。長期的に見ても、このような状況が続いていくと想定され、今後も災害リスクの増大が懸念される中、まさに防災対策は急務であると思います。  そこで、多くの人命や財産が失われるおそれのある河川の氾濫や土砂崩れに対して、全力を挙げて防災対策に取り組まなければならないと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。昨年九月の関東・東北豪雨や先月末に北海道、岩手県に甚大な被害をもたらした台風十号など、近年、過去の経験からは予測しがたいような豪雨が頻発しており、さらなる防災・減災対策の強化が急務となっております。  そこで、県におきましては、これまで進めてきた河川の氾濫を防止するための河川改修事業に加えて、計画規模を上回るような出水であっても可能な限り洪水被害を軽減できるよう、堆積土除去や堤防強化などの減災対策に取り組むとともに、関係機関と連携しながら流域全体で雨水の流出を抑制する対策を推進してまいります。  また、土砂災害の発生により甚大な被害が生じる可能性が高い社会福祉施設等がある箇所から、重点的に土砂災害防止対策を進めることとしており、一方で、土砂災害防止法に基づく特別警戒区域におきましては、開発行為の許可制や建築物の構造規制等を適切に運用することで、さらなる土砂災害の被害防止に努めてまいります。  さらに、災害時におきましては、警戒避難に万全の対応がとれるよう、洪水予報や土砂災害警戒情報などの防災情報の提供に加えて、危険が迫った場合には、私みずからが関係市町長へその状況等を直接お伝えするホットラインを運用しているところであり、今年四月から、昨年の豪雨を踏まえ、連絡系統のなお一層の強化を図ったところであります。  今後は、想定し得る最大規模の降雨でも安全に避難ができるよう、洪水浸水想定区域図の見直しを行い、市町が取り組むハザードマップを充実させるとともに、住民等が災害発生前から発生後までにとるべき行動を時間ごとにあらかじめ明確にしておき、迅速かつ的確な避難を促進するタイムラインの作成を支援するなどして、危機管理体制のさらなる充実・強化を図ってまいります。  今後とも、ハード・ソフトの両面から、災害の未然防止や被害の軽減対策を進め、とちぎ元気発信プランに掲げました災害に強いとちぎの基盤づくりプロジェクトの着実な推進を図ってまいります。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 再質問させていただきます。昨年は豪雨に非常に悩まされたわけですが、ことしは反対に渇水、水不足で、利根川や鬼怒川では三年ぶりの取水制限となりました。やはり渇水対策も長期的な展望で見ていかなければならない課題だと、改めて思ったところであります。  先日、本県出身で世界の気候変動の権威である東京大学名誉教授の山形俊男先生と懇談する機会を得ました。山形先生によれば、太平洋赤道域の海水温と異常気象は密接な関係があるとのことで、日付変更線あたりが冷えて西太平洋やペルー沖の水温は暖かい、これをラニーニャもどきと言うそうですが、このラニーニャもどきという気候変動現象の影響で、ことしの冬も暖冬になり、雪が降らないということでした。  そこで、長期的な視点に立って渇水対策が必要であると考えますが、どのように取り組もうとしているか、知事にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。 ◎福田富一 知事 再質問にお答えいたします。ことしの渇水では、速やかに県として渇水対策本部を設置し、県民初め、関係団体などに節水を呼びかけるほか、ダムの貯留水を融通することで、県民生活に大きな影響が生じないよう対応してまいりました。今後とも、これらの的確な対応によって、渇水被害の発生防止に努めてまいりたいと思います。  また、今般、国におきまして継続との対応方針が示された思川開発事業の早期完成を図っていくことも重要であります。さらに、県有施設などで実施している雨水貯留施設の設置も県下に普及させ、雨水利用を促進していくことも有効な取り組みであると思います。ダムの早期完成、また、雨水利用について県民に呼びかけるというものでございます。  今後も県民はもとより、市町等の関係団体と連携協力しながら、水資源の大切さの啓発に努めつつ、さまざまな取り組みを進め、高まる渇水リスクに備えてまいりたいと思います。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (四十五番 螺良昭人議員登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) 日本においては、海洋の気候変動に着目して長期的に気候を調べていくという認識がまだまだ非常に薄いと思います。気象庁などは、長くても二週間、三週間の変動しか考えることができないですが、先ほど知事が言いましたように、思川開発事業は二週間、三週間ではできないですからね。そういった意味では、海洋学的な見地からもいろいろと検証されていくことも、一つの考えではないかと思います。  再質問させていただきます。土砂災害による被害を防ぐには、先ほど知事の話にもありましたように、まずは避難情報や県民への避難勧告など、迅速な情報伝達というソフト対策が非常に大切であるということは当然であります。  それにあわせてハードの対策も必要なのです。調べていきますと、本県では、土砂災害警戒区域が六千六百八十五カ所、土砂災害特別警戒区域が五千九百九十四カ所指定されていて、そのうち甚大な被害が生じる可能性の高い老人福祉施設等の優先的に整備するところが二百三カ所あるとされております。  そういう状況の中で、スピード感を持って整備を進めていかなければならないと考えます。関谷議員が平成二十六年九月議会で同趣旨で質問しておりますが、その後、現在の対応はどうなっているのか、県土整備部長にお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 印南洋之県土整備部長。 ◎印南洋之 県土整備部長 ただいまの再質問にお答えいたします。ご指摘のように、重点整備箇所として位置づけております箇所が二百三カ所ございます。お金のかかる事業でございますので、なかなかピッチを上げることは難しいのですが、県土整備委員会の特定テーマでも議論いただきまして、ここ数年でピッチを上げ、既に三十二カ所事業に着手したところでございます。  今後も交付金事業の最大限の導入あるいは緊急防災・減災対策事業の活用、そして、今般のような補正予算にも積極的に呼応することによりまして、できるだけ前倒しして対応していきたいと考えております。 ○五月女裕久彦 議長 螺良昭人議員。    (福田富一知事登壇) ◆四十五番(螺良昭人議員) ここ数年、土砂災害でお亡くなりになる方がいたり、栃木県としては非常に痛手を負っているわけでありますし、栃木県だけではなく、広島県などでも大きな災害が起こっているわけであります。今、土砂災害警戒区域の見直しをしているとお聞きしておりますが、その見直しの中で数がふえるのではないかという話もあります。そういった意味では、ピッチを上げているのはわかるのですが、さらに頑張っていただきたい、そんな思いを込めて、次に移らせていただきます。  最後に、要望になりますが、東日本大震災のときに大規模な停電がありました。電気のない生活が考えられない現代において、プロパンガスによって発電できるエネファームというものがありまして、災害時の備えとしては非常に有効だと私は思っています。  一般家庭の通常のプロパンガスを電気発電に切りかえられる、また、安価にそういう施設が整えられるということでは、一般家庭への普及も大きく期待するところでありますが、一時的に避難所が設置される県有施設などにおいても、大規模なものは別としまして、小規模なものに関しては電力供給ができるエネファームがあれば、避難所運営も停滞することなく行うことができるのではないかと思っています。  そこで、県や市町の所有する公共施設において、防災拠点の電源確保を進めるために、エネファーム等を積極的に導入することを進めていただきたいと要望させていただきます。  以上をもちまして、私の質問の全てを終了させていただきます。知事におかれましては、四選出馬ということであります。先ほど順次質問させていただきまして、きちっとしたお答えをいただいて感謝を申し上げるところでございますが、そのお答えは我々議員だけではなく、選挙を通じて県民全てにご理解いただき、そして、次の四選に向けて全力を尽くしていただくこと、また、この議場で知事に質問させていただけることをご期待申し上げまして、私の質問は以上とさせていただきます。ありがとうございました。 ○五月女裕久彦 議長 この際、十五分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。  午前十一時九分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎原山光史 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は四十八名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――  午前十一時二十五分 開議 ○五月女裕久彦 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 民進党・無所属クラブを代表しまして、発言通告に従い、順次質問させていただきます。
     まず、平成二十八年度九月補正予算について、知事にお伺いいたします。今通常会議に上程されました平成二十八年度九月補正予算では、先週、議案上程の際に知事からの説明にもございましたが、国の経済対策に積極的に対応するとともに、引き続き厳しい財政状況の中、とちぎ行革プラン二〇一六を踏まえつつ、県民生活にかかわる緊要な課題等に適切に対処することとして、一般会計で二百二十三億円余が計上されました。  この補正予算の特徴は、未来への投資を実現する経済対策への対応、強みを生かした産業振興、健康で安心な暮らしの実現、その他緊要な課題への対応とされていますが、特にその内訳を見ると、国の経済対策分が百九十二億円余と、その大半を占めております。  そこで、特に経済対策と銘打つからには、本県においても、補正予算による、その波及効果が最大限に発揮されることが当然ながら重要であろうと考えますが、こうした点を含め、どのようなお考えで今回の補正予算を編成したのか、知事にお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの斉藤孝明議員のご質問にお答えいたします。今回の補正予算につきましては、国の経済対策への積極的な対応を第一の柱に据えるとともに、県税収入の下振れの懸念など当初予算に計上した一般財源の確保が不透明な状況にある中で、とちぎ行革プラン二〇一六を踏まえ、健全財政の維持に意を用いながら、県内産業の振興や安全・安心な暮らしの実現等の課題に適切に対処することとして編成いたしました。  国では、去る八月二十四日、一億総活躍社会の実現の加速、観光振興や農林水産業の競争力強化等に向けたインフラ整備等を図るための経済対策を盛り込んだ、平成二十八年度第二次補正予算案が閣議決定されました。  県におきましては、これに迅速に呼応すべく、できる限りの情報収集等に努め、総額二百二十三億四千九百四十四万円の補正予算のうち、経済対策分として百九十二億六千二百七十二万円を計上したところであります。  具体的には、道路、河川・砂防、土地改良、森林整備等の公共事業を前倒しで実施するとともに、林業・木材産業の生産性向上や農業の産地競争力の強化を図るほか、障害者福祉施設等の防犯設備の整備や保育人材確保の促進等に取り組んでまいる考えであります。  これらの施策の速やかな執行を図ることにより、今回国が想定している実質GDPをおおむね一・三%程度押し上げるという経済効果の早期発現に努め、県内経済の活性化へとつなげてまいりたいと考えております。  県といたしましては、こうした経済対策に加え、デスティネーションキャンペーンの開催準備、避難所周辺道路や緊急輸送道路等の整備・保全、県立学校施設の安全対策など、本補正予算に計上した取り組みを効果的に実施することにより、安全・安心で活力あふれるとちぎの実現に取り組んでまいります。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 要望させていただき、次の項目に移らせていただきますが、この間の報道等を見ておりましても、今回の補正予算では、例えば本県については公共事業が七割ですとか、国についても総額三・二兆円の財源が必要だということで、建設国債二兆七千五百万円が追加発行されるので、財政健全化の面で課題を残しているなどとも報じられております。知事から、財政健全を維持しながらという言葉もございました。もちろんこれからの県勢の発展のためにどうしても必要なインフラの整備、また緊急防災・減災対策事業など喫緊の課題には、私どもとしても早急に取り組むべきとの認識は持っております。  一方で、選ばれるとちぎを実現していくためにも、先ほどの螺良議員の、人が輝く「元気なとちぎ」という質問に対しての答弁にもありましたが、あと二つの特徴として挙げられておりました、強みを生かした産業の育成や健康で安心な暮らしの実現、こちらにもよりめり張りをつけて、ほかの自治体に先んじた本県らしさを、独自の施策を打ち出していくことも改めて強く望むところでもございます。  知事の説明にもありましたとおり、今後の県政推進に当たってもとちぎ行革プラン二〇一六も十分に踏まえながら、事業の選択と集中、財政健全化との両立を改めて要望申し上げまして、次の項目に移らせていただきます。  続きまして、防災・減災対策のさらなる推進についてのうち、まず台風十号による岩手県の社会福祉施設被災の検証と本県の対応についてお尋ねいたします。先ほど螺良議員に対しての答弁で、県土整備部長からいろいろとお話もございました。今回は、私のほうの切り口としては、高齢者老人ホームということで、保健福祉部長にお尋ねしたいと思います。  ちょうど一年前の関東・東北豪雨では、茨城県や宮城県とともに、本県でも甚大な被害が発生しました。今また、台風到来のシーズンを迎えている中で、本年も日本各地にその影響が及んでしまいました。とうとい命を奪われてしまった方々に改めて哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。  まず、過日の岩手県での台風十号の影響による被害から、本県の状況を確認していきたいと思います。台風十号の影響による河川氾濫によって、社会福祉施設・高齢者グループホームが被災し、多くのとうとい命が奪われる結果となってしまいました。いわゆる災害弱者の避難誘導やその準備、孤立した場合の対応など、さまざまな課題が明確になったところでございます。  そこで、今回の災害からは、本県でも同様あるいは類似のケースを想定した検証と対策が求められていると考えていましたが、実はこの通告と前後しまして、既に厚生労働省から災害対策調査の通知が出されたということで伺っております。 その調査への対応も含めまして、本県としてどのように捉え、また対応しようとしているのか、保健福祉部長にお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 近藤真寿保健福祉部長。    (近藤真寿保健福祉部長登壇) ◎近藤真寿 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。近年の異常気象等により発生する災害に備え、社会福祉施設の入所者等の安全を確保することは、喫緊かつ重要な課題であります。  このため県では、今回の岩手県での被災を踏まえ、市町及び社会福祉施設に対し、入所者の避難方法の点検や緊急時の対応体制の構築など、非常災害時の備えについて改めて確認するよう、直ちに周知徹底を図ったところであります。  また、水害や土砂災害等不測の事態に備え、施設における避難体制をより詳細に把握し、非常災害対策の充実・強化を図るため、現在、県では各社会福祉施設に対しまして、誰が、いつ、どこへ、どのような方法で避難させるかなど、具体的な避難行動の手順を把握するための調査――これは厚生労働省のほうで予定されていますが、そこに追加項目を入れまして、現在行っているところであります。  今後とも調査結果等を踏まえながら、必要な指導・助言を速やかに行い、社会福祉施設入所者等の安全確保に万全を期してまいります。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 私もこの質問をするに当たりまして、いろいろと調べている中で、火災のほうは避難訓練等、消防法によりまして避難計画策定の義務づけがあるということでありました。残念ながら、今回こういう事態が起きてしまいましたが、風水害の場合は、その義務づけはなかったということで、岩手県でもあのような惨事が起きております。 今、保健福祉部長の答弁にありましたように、スピード感を持って確実に命が守られるような方策を、本県においても速やかに行っていただけますよう要望いたしまして、次の項目に移らせていただきます。  次に、関東・東北豪雨による被災を受けての対応についてのうち、公共土木施設の復旧について、過日報道等もございましたが、県土整備部長にお伺いします。本県にも甚大な被筈をもたらしました関東・東北豪雨から、この九月で一年が経過いたしました。今また、既に災害リスクが高まるシーズンを迎えてしまっておりますが、昨年の被災箇所を初め、各所では万全の対策が求められております。  そこで、約六百カ所に及んだ県内の公共土木施設の復旧の進捗と今後の見通しについて、県土整備部長にお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 印南洋之県土整備部長。    (印南洋之県土整備部長登壇) ◎印南洋之 県土整備部長 ただいまの質問にお答えいたします。昨年の豪雨による本県の公共土木施設の被害は全国で最大規模となりましたが、県は、これらのいち早い応急復旧に取り組むとともに、国の災害査定後、直ちに本復旧工事の発注に取り組んでまいりました。  復旧工事は、大規模に被災し被害拡大のおそれのある箇所や、路肩崩壊により通行不能等となった道路などから優先的に取りかかることとし、昨年度末までに全体の八割の工事を発注し、今年度上半期末、すなわち今週中でございますが、全箇所の工事の発注を完了させることとしております。  これまでに、全体の約半数の箇所で復旧工事の完了を図ったところでございまして、年度内の全面復旧に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 報道されてから数週間たっております。今週中に発注が全部完了するということで、これで一段落といいますか、原形復旧までは何とかいくのだなと思いました。  県土整備部長に再質問いたします。先ほどの知事の答弁にもありましたけれども、堆積土砂のように、原形復旧だけではちょっと心もとないという箇所も、今回たくさん見受けられたと思います。場合によっては改良復旧が必要といった方面の進捗はどうなっているか、お聞かせいただければと思います。 ○五月女裕久彦 議長 印南洋之県土整備部長。 ◎印南洋之 県土整備部長 ただいまの再質問にお答えいたします。堆積土砂除去等、いわゆる減災対策ということになりますが、こちらにつきましては、緊急防災・減災対策事業費等を活用させていただきまして、引き続き順次進めているところでございます。  昨年の雨でかなり状況が変わってきたということもございまして、改めて必要な箇所等の洗い出しを進めておりまして、こちらにつきましても、危険な箇所から順次進めていく考えでございます。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) ぜひ抜かりなくお願いしたいと思います。見た目にも、少し量の多い雨が降ったときにはやられてしまいそうな、やはりそういう箇所も住民の皆さんは不安を持つと思いますので、そういったところのスケジュールを示すだけでも心情的にも違ってくると思いますし、また、それなりの備えもできてくると思いますので、ぜひ着実な進捗・推進をお願いしたいと思います。次の項目に移らせていただきます。  次に、防災・減災対策と住民意識の啓発について、県民生活部長にお伺いします。前の項目では、県土整備部所管のハード対策についてお聞きしましたが、これに加え、今度はソフト対策についてお伺いします。  県と国または県と市町の間などで交わされる情報伝達におきまして、各関係機関の間の連携体制、さらには、住民への情報伝達や避難対策など、今後に向けて防災・減災対策を強化する観点から、これも先ほどの答弁で若干聞こえたところではあるのですが、改めて確認をさせていただきます。関東・東北豪雨による被災にも、改めて多くの教訓を見出さなくてはならないと考えております。  そこで、被災後の県の対策と住民の防災・減災意識のさらなる啓発について、今後どのように取り組もうとしているのか、県民生活部長にお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 和田裕二県民生活部長。    (和田裕二県民生活部長登壇) ◎和田裕二 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。関東・東北豪雨災害の検証の結果、被害の迅速かつ正確な把握や関係機関における情報の共有、住民への的確な情報の周知、これらに加えまして、防災に関する県民への意識啓発が極めて重要であることが改めて明らかになりました。  このため県では、知事が市町長に直接助言するホットラインの運用の見直し、県職員の市町への派遣体制の強化、防災情報機器の操作研修の充実などを順次実施してまいったところであります。  また、住民が災害に関する情報を正しく理解し、災害発災時に適切な避難行動をとることができるよう、引き続き機会を捉えて意識啓発に努めてまいります。  今後とも、市町を初め関係機関との一層の連携強化に努めるとともに、災害の教訓を生かし県の防災対策を適切に見直すなど、災害に強いとちぎづくりを推進してまいります。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 県民生活部長に再質問させていただきます。先ほど知事の答弁にもありましたし、また、県民生活部長からもホットライン運用の見直し、県職員の派遣体制の強化等を順次実施しているという答弁がありました。また、ことし三月の時点で県の防災ホームページが大分改定され、県民にもわかりやすい、災害の見える化といいますか、そういう改正もなされていることを承知した上でですが、ショッキングな新聞報道もございました。自主防災組織が二千を超えたということで、例えば宇都宮市のように百%達成している自治体もふえてきている一方で、二〇一四年度の県政世論調査だったと思いますが、「自主防災組織の存在を知らない」、そういう回答が七割にも上っております。  先ほど来の答弁にあるような、災害に強いとちぎづくり条例の理念を一層浸透させていく、防災意識を高めていくということと逆行しているわけではないのですが、なかなかこのギャップが埋まっていかない。また、防災メールなども、登録の数が実際には余り伸びていないという現実もございます。  特に、実際災害が起きたときの発令権限は市長、町長ということになってくるのでしょうが、広域自治体としての県はどのようなことをしていけるのか、また、住民の命を守るために働いていけるのか、その点、県民生活部長に再質問させていただきます。 ○五月女裕久彦 議長 和田裕二県民生活部長。 ◎和田裕二 県民生活部長 ただいまの再質問にお答えいたします。災害に強いとちぎづくり条例の中では、自主防災組織が互助の中核というような位置づけをしておりまして、今まではリーダーの養成研修や資機材等の整備等を通じて支援をしてきているところでございます。今後とも、そういった地域の実情に応じて市町に対して支援をしていきたいと考えております。  あわせまして、なかなか組織率が上がらないというような事情もございますので、県、市あるいは防災士会などで構成する支援チームをつくりまして、自主防災組織の設立、あるいはその活動についての支援等を行っているところでございます。  また、今年度新たに自主防災組織等が実施する訓練等に、指導的な役割を担えるような消防団員の養成を進めておりまして、消防団と自主防災組織が実際の災害の場においては共同して活動を展開できるような取り組みも進めているところでございます。  県といたしましては、そういった取り組みを進めまして、災害に強いとちぎづくりを進めてまいりたいと考えております。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 県民生活部長から、力強い答弁をいただいたと思います。ただ、東日本大震災後から災害対策・対応について、議会としてもいろいろと議論をしてきて、私自身も少なからずかかわってきたり、質問の中で取り上げさせていただいたこともありましたが、現実として、七割の方が自主防災組織の存在を知らないという現状がなかなか改善されておりません。今、県民生活部長から答弁のあったことが、各地域でしっかりと生かされるように要望いたします。また、消防団のお話がありましたが、訓練は実効性があるほどそのときに動ける、命を守れる確率も高まってくると思います。県は、十二月までに地域防災計画に反映させるということで伺っておりますので、しっかりと反映されて、また、条例の理念に記してあるように、災害があったときにみんなが助け合って命を守っていけるような栃木県にしていきたいと思います。力強い推進を要望いたしまして、次の項目に移らせていただきます。  次に、介護保険制度への対応についてのうち、市町等への支援策について、保健福祉部長にお伺いいたします。二〇一五年の介護保険法改正に伴い、要支援者を対象とする新しい総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)が、二〇一七年度から保険者である全ての市町村で実施されることとなっています。しかしながら、本県において、今年度末までに移行または移行する予定の自治体は七市町にとどまっております。  そこで、今後のスムーズな移行とサービス利用者の不安払拭のためにも、市町はもとより、地域包括支援センターや介護事業者、さらにはサービス利用者に対して、より適宜適切な支援が必要と考えますが、現下の状況を踏まえ、県はどのような対応をしようとしているのか、保健福祉部長にお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 近藤真寿保健福祉部長。    (近藤真寿保健福祉部長登壇) ◎近藤真寿 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、平成二十九年四月から、全ての市町において新たな介護予防・日常生活支援総合事業が円滑に実施できるよう、市町職員や地域包括支援センター職員を対象とする研修会等を開催し、先進事例等の情報提供や市町間での情報交換の場を設けるなど支援してまいりました。  地域包括ケアシステムの構築に向けましては、新たな総合事業を活用し、これまでの介護サービスに加えまして、NPO、ボランティア団体等多様な主体による新たなサービスのさらなる拡充が求められますが、利用者等に混乱が生じないよう十分な周知が必要であると考えております。  県といたしましては、市町や関係団体等と連携し、県ホームページや各種広報誌等を通しまして、利用者等へのより一層の情報提供に努めながら、来年度から本格的にスタートする新たな総合事業の円滑な実施に向け、市町とともに進めてまいりたいと思います。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 保健福祉部長に再質問させていただきます。今の答弁で、市町職員や地域包括支援センターの職員を対象とした研修会やセミナーを開催し、そこで先進事例などの情報提供や市町間での情報交換の場を設けたということでお聞きしました。  一方で、最後のほうで利用者のことにも触れていただきましたが、利用者も一番不安を持たれていると思います。市町と連携して利用者を支援するというのは具体的に――情報提供ということで先ほど答弁いただいておりますが、例えばそういう場が設けられるとか、何か具体的な取り組みがありましたら、改めて答弁をお願いをしたいと思います。 ○五月女裕久彦 議長 近藤真寿保健福祉部長。 ◎近藤真寿 保健福祉部長 ただいまの再質問にお答えいたします。これまでの介護サービスが使えなくなって、新しい事業がないとサービスが受けられなくなるのではないかという不安の声もあるように聞いていますので、そのあたりの制度についてよく周知するということと、実際すぐないと困るという事業ではないものですから、市町では取り組みがぎりぎりまで進んでいないところもあるようですが、やはり多様なサービスがあるということが一番大事でございますので、サービス主体がふえるよう、これも市町の職員や関係者との意見交換の場を、これまで以上に積極的に展開しながら進めてまいりたいと思います。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) サービスする側も、また受ける側も、そうした改正による不安の払拭につながるような場を、小さな声にも耳を傾けながら、ぜひお願いしたいと思います。要望させていただきまして、次の項目に移らせていただきます。  次に、要介護認定についてお伺いいたします。今年度当初に明らかにされました厚生労働省の全国調査では、二〇一四年度の本県の第一号被保険者(要介護認定されていない人を含む六十五歳以上の高齢者)一人当たりが利用する年間の介護費用は、全国で最も低い金額の二十四万五千円で、平均より二万九千円低く、要介護認定率は一五・六%と、全国では低いほうから五番目で、平均より二・三ポイント低いというデータが示されております。  こうした状況から、本県の要介護認定の判定が厳しく、もしかすると県民に不利益が生じているのではないかと心配もされているようです。  そこで、この要因としてはさまざまなことが推測されますが、現時点での県の分析や検証、さらには、今後の対応について、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 近藤真寿保健福祉部長。    (近藤真寿保健福祉部長登壇) ◎近藤真寿 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。介護サービスの適切な提供には、市町における要介護認定事務が適正に実施されることが重要でありますことから、県では、市町の認定調査員や介護認定審査会の委員等を対象とした研修を実施しているところであります。  高齢者に占める要介護者等の割合である要介護認定率や高齢者一人当たりの介護費は、市町における高齢化の状況や介護予防への取り組み、さらには、家族の介護力などにより一定の差が生じておりますが、本県の介護認定は、国の要介護認定適正化事業の業務分析データによりますと、全国平均と大きな乖離はなく、おおむね適正に行われていると考えております。  今後とも、適切な介護サービスが提供されますよう、要介護認定にかかわる実務者研修等のより一層の充実を図ってまいります。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 重度変更――最初の判定よりも、その後介護度が重くなってしまう方が全国平均より栃木県の場合は多く、逆に軽度変更が全国平均より低いといった事実や、先ほどの一人当たりの介護費用が全国で一番低い金額ということもありまして、大変気がかりな結果ではあります。今、保健福祉部長の答弁を聞いて、しっかり適正に行われていることも理解はしているのですが、細心の注意を持って、今後の分析や検証を行っていただいた上で、適切で公正な認定業務がこれからも遂行されるよう、市町への支援を行っていただきたいと要望いたしまして、次の項目に移らせていただきます。  保育サービス充実に向けた取り組みについて、引き続き保健福祉部長にお尋ねいたします。まず、待機児童への対応についてお伺いします。昨年、策定されましたとちぎ創生15(いちご)戦略において、戦略十一「子ども・子育て支援の充実」のKPl(重要業績評価指標)の一つに、保育所等待機児童数が挙げられ、平成三十二年の目標値がゼロ人とされました。今般の厚生労働省の調査結果からは、ことし四月一日時点の本県の待機児童は百五十五人、そして、いわゆる潜在待機児童は七百九十六人いることも公表されております。  そこで、本県の待機児童解消に向けて、今後予定されている国による待機児童の定義の見直し、もしくは定義の統一とも言われているようですが、このことをどのように捉え、また、対応しようとしているのか、保健福祉部長にお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 近藤真寿保健福祉部長。
       (近藤真寿保健福祉部長登壇) ◎近藤真寿 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。国では先般、待機児童の数とあわせまして、特定の施設のみを希望していることなどを理由に、待機児童数に含めずにいた児童の数を公表したところであります。  また、待機児童数につきましては、自治体によって捉え方に違いが出ていることなどから、今般、有識者による検討会を設置し、待機児童の定義の見直しに向けた検討を開始したところであり、今後、自治体のヒアリング調査等を行った上で、今年度中に一定の基準を示す方針であると伺っております。  県といたしましては、国における検討状況等を注視し、必要な情報収集に努めるとともに、市町とも緊密に連携を図りながら、子ども・子育てプランにおける受け入れ枠の整備目標の見直しも含めまして、適切に対応してまいります。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 先ほども数字を挙げましたとおり、潜在待機児童が入るか入らないかで全然数字が変わってしまいます。国の動向を見ながらということでありましたが、本県においても最近の新聞報道等を読んでいますと、各市町で独自の取り組みがもう既に行われているようなところもございますので、今後、県も市町と連携をしながら、この対策に万全を期していただきたいと要望いたしまして、関連します次の項目に移らせていただきます。  保育人材の確保対策についてお尋ねします。二〇一五年度から子ども・子育て支援新制度がスタートして、保育認定の要件緩和や低年齢児の保育ニーズの高まりなど、保育士を初めとする保育人材の確保は、本県の保育サービスの充実を図る上でますます重要度を増しております。  そこで、県が昨年度実施した保育士の就労実態調査でも明らかにされましたように、現職保育士から最も要望の多い処遇改善のための対策や、本年四月に設置されたとちぎ保育士・保育所支援センターにおける人材確保事業の進捗状況等も含め、保育人材の確保対策に今後どのように取り組もうとしているのか、保健福祉部長にお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 近藤真寿保健福祉部長。    (近藤真寿保健福祉部長登壇) ◎近藤真寿 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。保育士の処遇改善につきましては、これまで国において、平成二十四年度の保育士の給与と比較しまして約七%、月額約二万一千円の改善が図られたところであります。  県としては、国の改善措置が保育士の給与に適切に反映されるよう経営者への指導を行いますとともに、さらなる処遇改善について全国知事会等を通し、引き続き国に要望してまいります。  また、人材確保については、ことし四月に開設したとちぎ保育士・保育所支援センターにおいて、潜在保育士等に対する就職情報の発信や、保育士経験のあるコーディネーターによる就職相談・あっせんなど、再就職支援に取り組んでいるところであります。  さらに、今月末から職場復帰セミナーを県北・県央・県南の三カ所で実施するとともに、十一月からは合同就職説明会を開催するほか、潜在保育士に対する再就職準備金等の貸付事業を開始する予定であります。  今後とも、関係機関と十分に連携を図りながら、保育士確保対策に積極的に取り組んでまいります。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 要望させていただきます。一番要望が多いのが、先ほど申し上げたとおり賃金アップということです。また、小学校教諭などの、いわゆるみなし保育士の方々の発掘も急がれるというか、そういう人材の確保も、県として力を入れてやっていくべきだと思っております。国の制度で、例えば支援金などについては、弾力的運用がなかなか図れずに、会派の要望としても、先般中間期要望ということで出させていただきましたが、とちぎ創生15(いちご)戦略や人が輝く栃木県――人づくりということがその底流にはございます。これからの将来を担う子供たちをいかに育てていくかという分野の話でもありますので、ぜひ幅広い栃木県独自の施策もこれから検討していただけますよう要望いたしまして、次の項目に移らせていただきます。  観光政策の推進について、産業労働観光部長にお伺いいたします。先ほどの螺良議員の質問で、いろいろとこれからのイベント等の話も出てまいりましたが、とちぎ観光立県戦略に基づくオール栃木体制構築と事業展開についてお伺いします。  ホスピタリティー向上のために、本年七月にとちぎのおもてなし向上検討会議が設置され、既に二回開催されたと伺っております。また、今月十六日には日光国立公園満喫プロジェクトを推進するための地域協議会が開催されました。「本物の出会い 栃木」デスティネーションキャンペーン実行委員会も既に設置され、さらに、来年は第二回「山の日」記念全国大会が那須町で開催されることも決定されるなど、観光誘客にかかわる多くの事業がまさにめじろ押しの状況となっております。  そこで、来年にはプレデスティネーションキャンペーン(プレDC)の開催も控え、多くの観光客を迎える準備と体制の構築を急がなければならない時期となっておりますが、同じような時期に展開される複数の事業により相乗効果を高めるためにも、先ほど知事の答弁にもございましたが、事業間の連携も含めて、今後どのように取り組みを進めようとしているのか、産業労働観光部長にお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 香川眞史産業労働観光部長。    (香川眞史産業労働観光部長登壇) ◎香川眞史 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。日光国立公園が国立公園満喫プロジェクトの実施箇所に選定されましたことや、来年八月の第二回「山の日」記念全国大会の那須町開催決定は、観光立県とちぎを目指す上で大変大きな追い風であります。  そこで、十五万人の来訪が見込まれる来年十一月開催の技能五輪全国大会全国アビリンピックを含めまして、これらデスティネーションキャンペーンと同時期に開催される大型イベントとの相乗効果を高めるため、イベント開催時において観光PRを展開するなど、相互に連携した戦略的なプロモーションを行ってまいりたいと考えております。  特に、これら大型イベントの先陣を切ります来年四月からのプレDCに向けましては、本県の豊かな自然や多彩な文化など、観光資源のさらなる掘り起こしと磨き上げを進めるとともに、県民総参加によるおもてなしの向上を図り、本県を訪れるお客様に心から満足していただけるよう事業間の連携も含めて、オール栃木体制により万全の準備を進めてまいります。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 本当に切れ間なく、これから事業が展開されてくることと思います。一貫性、連続性を持って、そして、ブランドの統一イメージなんかもできてきていますし、魅力度が上がった話も先ほど出ておりました。このいい流れを、ぜひもっと高めていただけるように産業労働観光部、また部局を越えて、国立公園満喫プロジェクトなど所管が違ってくると思いますが、庁内全体で盛り上げていただきますように、我々も全力で協力していきたいと思っておりますので、要望させていただきます。  観光施策ということなので、産業労働観光部長に再質問をさせていただきます。先般、周遊パスポート事業が今年度で終了するということで聞いておりましたが、これから延期もされ、また、企業版のふるさと納税も活用しながら、これからまた展開が図られるということを言われておりました。まだ委員会等では聞いていないのですが、具体的にどのような事業になるのかお聞かせいただければと思います。 ○五月女裕久彦 議長 香川眞史産業労働観光部長。 ◎香川眞史 産業労働観光部長 ただいま周遊パスポート事業のお話が出ましたが、八月時点で三十六万部ぐらい発行しております。ステージごとに分かれておりまして、利用されるお客様には、スタンプラリー的なところもございまして人気がありますので、できれば続けていきたいということで、今後予算措置も含めてお願いをするところでございます。  それと、ふるさと納税につきましては、県外の方からの納税をいただくということで、これについてはいろいろハードルが高い部分もありますが、しっかり検討して実施できるように努めてまいりたいと考えております。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 詳細について、これから委員会等を通じてしっかり聞いていきたいと思います。パスポートの発行部数は全体で三十六万部超、八月末日時点で三十六万四千六百四十四部という数字をいただいております。パスポートは三段階ありまして、私もやっと赤いファンステージのパスポートをゲットしました。内訳を見ますと、その約三十六万五千部のうち、第一段階のビジターステージが三十四万五千部弱ということで、なかなか第二段階のリピーターステージ、第三段階のファンステージに移行していただけていないような感じにもちょっと見えてしまうのですが、これは三年たったということで、やはり周遊性・回遊性を持たせる、リピーターをふやす、キャッチフレーズはそういうことでありますので、第二段階、第三段階の人数をふやすためにどのような取り組み、展開を考えていらっしゃるか、産業労働観光部長に再質問させていただきます。 ○五月女裕久彦 議長 香川眞史産業労働観光部長。 ◎香川眞史 産業労働観光部長 ただいまお話がありましたように、三十六万部のうち第一ステージの段階では三十四万部強でございまして、第二ステージで一万一千部、最終ステージで四千部ということで、これは経年的に多くなっていくことを期待しておりますが、やはり次のステージに移るときの魅力をもう一つ何か考えていかないと今後も続いていかないということでございますので、先ほどお話のありましたデスティネーションキャンペーンを中心とする大型イベント等にも対応できるように、しっかり中身を考えて進めてまいりたいと思います。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 要望させていただきます。まさに産業労働観光部長が今、おっしゃっていたとおりで、やはりグレードアップしていくときに、そこの部分の魅力がいまいちなのじゃないのかなと思います。外の方からもお話を聞いたり、実際に発行しているところや、扱っていらっしゃるところといった現場の声を聞いてもそういう話があります。発行所自体がちょっと少ない、なかなか取りかえられないというようなお話も聞いておりますので、ぜひ、今後三年間また延長ということになるとすれば、これまでの検証等をしっかり行った上で、ぜひ県内外で親しんでいただけるパスポートとして、バージョンアップしていただけますように要望いたしまして、次の項目に移らせていただきます。  とちまるショップについてお尋ねいたします。オープンから五年目となったとちまるショップの賃貸借契約が満了を迎えるのに先立ちまして、ことし五月の市町村長会議において東京ソラマチでの運営継続の提案がなされ、八月の政策懇談会においてこの提案が了承されました。今後は、十一月までに契約更新の方針が東武鉄道に伝えられ、来年五月には再契約締結の見通しとなっていると伺っております。  そこで、共同設置者である県内各市町からの意見や要望はもとより、これまでの五年間の運営実績も踏まえ、当初の目的である魅力的な県産品の販路拡大や観光情報の発信の機能について、今後どのように向上させようとしているのか、産業労働観光部長にお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 香川眞史産業労働観光部長。    (香川眞史産業労働観光部長登壇) ◎香川眞史 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。東京ソラマチにある都道府県で唯一のアンテナショップでございますとちまるショップの再契約に向けて、共同設置者である市町から情報発信の強化等について、さまざまなご意見をいただいたところであります。  このため県では、季節に応じた商品の入れかえなど品ぞろえの見直しを図るとともに、特に食を通じた情報発信機能の強化が重要であることから、地元で話題の商品等を飲食できるイートインスペースを設置するなど、具体的な改善策の検討を進めてまいります。  今後とも、来客者の皆様に満足していただけるよう、おもてなしの向上に取り組むとともに、とちぎブランドの発信という設立趣旨に改めて立ち返り、市町との連携を一層強化しながら、さらなる情報発信や県産品の販路拡大に努めてまいります。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 再質問させていただきます。先日も経済企業委員会において報告がありました。私ども会派といたしまして、もちろん今の現在地で飲食を伴う楽しみ方ができないかという提案もさせていただいてまいりましたが、東武鉄道を通じては、確かに栃木県への玄関口としては東京ソラマチということになると思いますが、多くのほかの都道府県などは、ほかの場所に立地をしているという店舗も多いです。  東京ソラマチにあるということで、他県との差別化にはなっていると思いますが、ベターではあってもベストなのかどうかと思いますし、スペース的な限界も感じます。調理器具を使えるといっても、火そのものは使えないということでお聞きしておりますが、あの場所で継続するということで、これはもう決定なのですか、産業労働観光部長に再質問させていただきます。 ○五月女裕久彦 議長 香川眞史産業労働観光部長。 ◎香川眞史 産業労働観光部長 ただいまの再質問にお答えいたします。具体的な契約、それと市町村の負担金との関係は来年度予算ということもございます。各市町で予算が成立して議会にお認めいただけるという形でないと合意ができないということになりますが、契約行為といたしましては、来年五月に更新の手続をとるということでございますので、厳密な意味では決定ではございませんが、市町及び県議会のご理解をいただきまして、東京ソラマチで引き続き契約をしていきたいと考えております。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) アンケート等におけるいろいろな意見ということで、詳細に目を通させていただきました。もし契約更新ということになれば、それから五年間の契約期間があるということになりますので、今後ほかの場所での展開というものもぜひ検討していただきながら、事業をやるからには最大限の効果を発揮していただきたいと思いますが、同時に、そのようなことも考えながら将来展望していっていただきたいと思います。要望させていただきまして、次の項目に移ります。  LRT整備に関する本県の対応について、知事にお伺いいたします。先ほども螺良議員から質問がございましたが、宇都宮市と芳賀町が進めているLRT整備事業については、既に都市計画決定の手続がなされ、軌道運送高度化実施計画の国への認定申請が行われております。  過日、宇都宮市におきまして運輸審議会における公聴会が行われ、これを経て、当該事業の認定を適当とする国土交通大臣への答申も行われましたが、その際、答申には要望事項として、事業内容や目的・効果について、これは知事の答弁にもございましたが、地域住民や地権者等への丁寧な説明をすることが含まれております。  そこで会派としても、これまで再三にわたり住民の合意形成や費用対効果の観点から将来需要予測の精査など、その重要性・必要性を訴えてまいりましたが、今回の答申も踏まえ、今後県としてこの事業にどのようにかかわっていくのか、知事にお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。宇都宮市と芳賀町におきましては、これまでLRTの導入に向けて、国や県、有識者、関係機関等と協議・調整を行うとともに、双方の議会においても十分な審議を経て、事業計画の策定を進めてきたとのことであり、あわせて、オープンハウスや地元説明会等、さまざまな手法により市民に対し丁寧な説明を行い、理解促進を図ってきたと聞いております。  現在、LRTの整備に必要な法定手続が進められておりますが、両市町等が策定した軌道運送高度化実施計画につきましては、運輸審議会における審議の結果、認定することが適当である旨答申がなされ、これを受けて、間もなく国がこの計画を認定する見込みと聞いております。  今後、両市町におきましては、答申を踏まえ、沿線の安全対策に万全を期すとともに、引き続き地域住民や地権者等への丁寧な説明に努めながら、早期に事業着手できるよう取り組んでほしいと考えております。  県のかかわり方につきましては、今後示される具体的な事業計画の内容や、軌道敷設工事施行認可等の手続の状況を踏まえ、県民や県議会の理解を得ながら、適切に判断してまいります。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 要望いたします。民意―住民合意ということで、住民投票など有効な手段として行えるのではないかということで、私も、会派としても、また党としても主張をしてまいりましたが、その実現には至っておりません。これは県としてどうこうできる類いのものではないということはわかっておりますが、実際に多くの住民が望んでおります。  ことし五月二十二日に、これは一千サンプルでランダムテレホンナンバーダイヤリング(RTD方式)ということで世論調査を民進党栃木県連として行っております。ただ、電話がかかるほうには民進党ということも、こちらから名乗りはしない調査になっております。宇都宮市の住民のみを対象にした一千サンプルの調査結果、「あなたは宇都宮市が導入を進めているLRT事業に関してどう思いますか」という質問に対し、賛成二三・九%、反対五四・二%、わからない二一・九%、こういう数字も出ております。  そして、ことしの二月議会だったでしょうか、私は県土整備委員会におりましたが、県道を使用することについての意見の照会という議案に反対してきたという経緯もございます。実際、事業が進むのだとしても、道路認定も都市計画決定も、もう既になされているようでございますが、実際にその認定なり決定がなされたその土地の上に住んでいる方は全く納得をしていない、そういう地権者の方が現にいらっしゃるという事実もございます。  こうした状況から、今後も、この膠着した状況を打破するには、事業が進められるのだとしても、なかなか一筋縄ではいかないということは火を見るよりも明らかだと思います。県は最大限の支援をしていくということで、私も初当選した年に質問させていただきましたが、ぜひ住民の合意形成に向けまして一肌脱いでいただくような、そんな動きもできないものかということをずっと考えております。きょうの時点では、そんな県としての動きもいろいろと考えていただいた上で、まずは住民の合意をどのように形成していくか、原点に立ち返ってお考えいただけますよう要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。(議場で発言する者あり)  指定廃棄物最終処分場問題についてお伺いいたします。今月十四日、環境副大臣が塩谷町を訪れ、候補地詳細調査実施への協力を要請しましたが、塩谷町長は、改めて反対の意向を伝えたと聞いています。また、国はこれに先立ちまして、現在県内百六十カ所に分散保管されている指定廃棄物のうち、抽出した三十八カ所のサンプル(試料)について放射能濃度再測定を行い、この九月を目途にその結果を取りまとめ、今後の処理の道筋を示すとされておりますが、きょう時点では、まだこれは示されていないということになります。  また、国は、現時点で各県処理の基本方針を変更しないとしておりますが、宮城県では同様の再測定で基準値を上回っていた指定廃棄物が大幅に減少し、茨城県については、分散保管されている指定廃棄物の現地保管継続と段階的処理へと方針が変更されました。  そこで、今回の本県での指定廃棄物の再測定の結果も考慮し、今後の処理についてどのように対応しようとしているのか、知事にお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまのご質問にお答えいたします。まず、指定廃棄物の再測定につきましては、県内百六十カ所の保管場所のうち、廃棄物の種類や濃度、地域性に配慮して選定された三十八カ所での試料の採取が終了し、近く分析結果がまとまると聞いております。  次に、今後の処理についてであります。本県の指定廃棄物の保管場所は、約九割が農家等であり、福島県に次いで量が多く、また、放射能濃度も比較的高いため、減衰に時間がかかると見込まれるなど、宮城県や茨城県などとは実情が異なっております。  このため、県といたしましては、現在の国の基本方針のもとでは、県内で安全に処理していくことが現実的な解決策と考えております。  また、再測定により放射能濃度が八千ベクレルを下回った廃棄物の処理についても、国は最後まで責任を持つべきであり、さらに、震災から五年半が経ち、農家等の保管者の負担も限界にありますことから、保管者の負担軽減策の検討も必要になってきているものと考えております。  今後、国におきましては、こうした点を十分に踏まえ、具体的な処理の道筋を示してもらいたいと思いますし、県としても、県内の市町の意向も考慮し、国と協議してまいります。  議員各位並びに県民の皆様には、指定廃棄物の処理につきまして、引き続きご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 要望します。結果の取りまとめが九月末ということで、先ほども触れましたが、いずれにしてもこの結果が出ないと、その後どういう道筋が示されるかということ自体がわからないわけでございますが、町長選もございました。塩谷町民の気持ちに寄り添った対応、また、その上でこれから示される再測定の結果を受けて、国との協議、また場合によっては各県処理の見直しを、私ども会派としては引き続き求めてまいりたいと思いますので、国への引き続きの働きかけを要望いたしまして、次の項目に移らせていただきます。(議場で発言する者あり)  投票率向上と若者の投票参加促進に向けた取り組みについて、選挙管理委員長にお尋ねいたします。まず、投票率向上への取り組みについてお伺いします。今夏の参議院議員通常選挙における栃木県選挙区の投票率は、三年前の前回より一・六九ポイント増の五一・三八%となり、選挙権年齢の十八歳以上への引き下げや、前回より期日前投票が三割増加したことなどが主な要因と思われます。しかしながら、前回参院選同選挙区の投票率四九・六九%を初め、さらに五回さかのぼっても五〇%台での推移にとどまり、今回の参院選は過去四番目の低投票率ということでありました。  そうした中にありましても、ショッピングセンターや大学に期日前投票所を設置したり、交通が不便な地域において、投票所に行くためデマンド交通の活用を図るなど、投票の利便性の向上に取り組んでいる市町選挙管理委員会もふえつつあります。  そこで、投票率向上に向けて、全県的に同様の取り組みを望むところですが、県選挙管理委員会としてこれからどのように対応していくのか、選挙管理委員会委員長に所見をお伺いします。 ○五月女裕久彦 議長 小林恒夫選挙管理委員会委員長。    (小林恒夫選挙管理委員会委員長登壇) ◎小林恒夫 選挙管理委員会委員長 ただいまのご質問にお答えします。今回の参議院議員通常選挙では、新有権者への重点的な啓発活動とあわせて、一部の市町が期日前投票所の拡大などに取り組みましたが、投票率は全国平均を下回る結果となり、さらなる啓発に加え、投票しやすい環境の整備が必要と受けとめております。  商業施設への期日前投票所の設置につきましては、期日前投票者数の増加につながっており、一層の普及が望まれます。また、大学への期日前投票所の設置やデマンド交通等を活用した投票所への移動支援の取り組みは、若者の投票参加促進や高齢者等の投票機会の確保のために有効と考えられます。  県といたしましては、市町選挙管理委員会委員長・書記長会議等を通じて、先進事例の紹介や利用しやすい投票所の設置、運営についての助言を行うなど、地域の実情に応じた投票環境向上の取り組みを働きかけるとともに、一層の選挙啓発に努め、投票率の向上を図ってまいります。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 要望させていただきます。委員長・書記長会議で市町選挙管理委員会とは連携をとられるということで、確かに効果の出た方策はたくさん示されてきていると思います。また、投票時間を繰り上げ、早く閉めてしまったとしても投票率自体は落ちなかった。地域の実情に合った柔軟な対応が必要とされていると思いますが、地域ごとに状況も違いますし、年齢の分布によっても変わってくると思いますが、これからもその実態をよく把握していただいた上で、市町とも情報交換をしながら一層の投票率向上に向けて取り組みを進めていただきたいと思います。次の項目に移らせていただきます。  主権者教育のさらなる促進について、教育長にお伺いします。今夏の参議院議員通常選挙は、選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられてから初めての国政選挙となりました。先般、総務省、さらには県選挙管理委員会から、それぞれ投票率に関する調査結果が公表されました。その結果、本県の十八、十九歳の投票率は四二・三五%と全国平均の四六・七八%を下回り、関東では最低となってしまいました。  そこで、今回の結果からは、投票自体の啓発や促進とあわせ、改めて主権者教育の必要性・重要性が認識されることとなりましたが、生徒の意識向上と主権者教育の促進について、県教育委員会としてどのように取り組もうとしているのか、教育長にお伺いします。
    五月女裕久彦 議長 宇田貞夫教育長。    (宇田貞夫教育長登壇) ◎宇田貞夫 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。選挙権年齢の引き下げを契機に、高校生には広く社会に関心を持ち、大切な一票を行使する有権者として十分な政治的教養を身につけてもらいたいと考えております。  高校生が初めて参加する選挙を前に、各高等学校では、県や市町の選挙管理委員会と連携した出前講座などを通して、公職選挙法や選挙の具体的な仕組みについて指導してきたところであります。  主権者教育におきましては、こうした知識の習得に加え、現実社会のさまざまな課題への関心を高め、その課題を自分たちの力で解決しようとする意欲を持たせることが重要であると考えております。  そのため今後は、家庭や地域との連携のもと、地域の課題を探究したり、現実の政治的事象を取り上げ討論したりするなど、主体的・協働的な学習を推進し、教育活動全体の中で、主権者教育をより一層充実させてまいります。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 一点、再質問させていただきます。今、主権者教育を進めていくということで答弁をいただきました。これはイメージ的にどれぐらいの学年、幾つぐらいからの主権者教育をお考えでしょうか、教育長に再質問させていただきます。 ○五月女裕久彦 議長 宇田貞夫教育長。 ◎宇田貞夫 教育長 ただいまの再質問にお答え申し上げます。基本的には高校生の公民の授業を中心として主権者教育等に携わっておりますけれども、中学生にも一部教材として教科書の中にも記入されているところです。しっかりと生徒たちに指導していきたいと考えております。 ○五月女裕久彦 議長 斉藤孝明議員。    (二十四番 斉藤孝明議員登壇) ◆二十四番(斉藤孝明議員) 小さければ小さいほど、できれば小さいうちから主権者教育を始めていただくことが、やはり文化・風土として選挙に行きやすい、足を運びやすいというものを築き上げていくことにもつながっていくと思いますので、できるだけ幅広い年齢にそういった教育が及ぶように、これからも主権者教育をぜひ進めていただきたいと思います。 要望とさせていただきます。  きょうは会派を代表してということでしたので、いろいろと項目が多岐にわたりまして、なかなか再質問ができずに申しわけなく思っているのですけれども、災害の対応等もございましたし、さまざまな問題がありましたが、情報をいかに発信していくか、そのことが今求められていると思います。  さまざまな取り組みを、執行部も一丸となって今展開をしていただいておりますが、そのことがなかなか県民に伝わらない、伝え切れないという部分もまだあると思います。そうしたところ、オール栃木という言葉を最近つとにまた聞くようになってきておりますが、我々議会も一丸となって栃木県政推進のために力を尽くさせていただきたい、そんな思いを申し上げまして、私の質問の全てを終わらせていただきます。 ○五月女裕久彦 議長 この際休憩したいと思います。午後一時三十五分から再開いたします。議事はただいまの継続議事であります。  休憩いたします。  午後零時三十四分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎原山光史 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は四十七名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――  午後一時三十五分 開議 ○早川尚秀 副議長 議長の都合によりまして、私が議長の職務を行います。よろしくお願いいたします。  ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。西村しんじ議員。    (十三番 西村しんじ議員登壇) ◆十三番(西村しんじ議員) まず最初に、今回のたび重なる台風やそれに伴う豪雨災害等により、亡くなられた方々に対しまして、衷心より哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられ、いまだ不自由な暮らしを余儀なくされておられる方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。あわせて、一日も早い復旧・復興がなされることをお祈り申し上げます。  それでは、早速質問に入ります。知事並びに執行部の皆様におかれましては、簡潔でかつわかりやすく、目の覚めるような答弁をいただきますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。  最初に、次世代素材CNF(セルロースナノファイバー)の研究・開発についてお伺いいたします。政府は、日本再興戦略二〇一六の中で、戦後最大の名目GDP六百兆円の実現を目指すとし、鍵となる施策として「官民戦略プロジェクト一〇」と銘打ち、新たな有望成長市場の創出として第四次産業革命、例えばIoT(Internet of Things・インターネット・オブ・シングス)、ビッグデータ、人工知能や、環境・エネルギー制約の克服と投資拡大、ローカル・アベノミクスの深化として攻めの農林水産業の展開と輸出力の強化等、十項目が掲げられております。  その中でも、夢の次世代素材と言われるセルロースナノファイバーは、環境負荷が少ない植物由来の次世代素材として、近年、世界的に注目を集めていたこともあり、二〇一四年には、政府が掲げた日本再興戦略の中の「世界を惹きつける地域資源で稼ぐ地域社会の実現」というテーマの具体的な施策の一つに、セルロースナノファイバーの研究推進が盛り込まれました。  セルロースナノファイバーは、繊維一本の直径が数ナノから数十ナノ(一ナノは十億分の一)メートルでありながら、強度は鋼鉄の約五倍、重さは鋼鉄の約五分の一で、炭素繊維にも迫る性能を備えております。しかも、透明で、熱を加えても膨張しにくいことから、自動車や航空分野、電子部品、医療素材、化粧品、食料品等の多くの産業分野において利用が期待でき、二〇三〇年には関連市場が約一兆円に達するとされております。  また、国際的な研究・開発競争が展開される中で、昨年、木材繊維を二十分の一以下のエネルギーでナノレベルまでほぐす方法を発見された東京大学の磯貝明教授を中心とする三人の日本人が、セルロースナノファイバーの研究で「森のノーベル賞」と呼ばれるマルクス・ヴァレンベリ賞をアジア人として初受賞され、現在、日本がこの分野の研究で世界をリードしております。その上、国土の七割を森林が占める我が国の自然資源も大いに活用できることから、大変注目されております。  今後、この次世代素材が本格的に活用されることになれば、日本が再生可能な素材の資源大国になることも容易に想像でき、本県においても、豊富な森林資源を活用した持続可能な新たな産業創出が可能となります。  我が党のモットーは、「調査なくして発言なし」であります。そこで、セルロースナノファイバーが、本県における新たな有望成長市場の創出につながるかどうかを確認するために、ことし七月に京都大学の生存圏研究所、生物機能材料分野の研究室を訪問し、セルロースナノファイバーの研究の第一人者であります矢野浩之教授から直接、その可能性についてお話を伺いました。  矢野教授からは、当初の製造コストは一キログラム当たり約五千円と、炭素繊維より約二千円程度上回っていましたが、現在は千円程度となり、今後、五百円以下に抑えられる可能性も見えており、そうなると多くの産業分野において、製品化が一気に加速するとのことでありました。  既に国内で製品化された商品も販売されているとのことで、ことし五月の伊勢志摩サミットでは、日本の最先端技術として、G7首脳・代表団を初めとする世界各国のサミット来訪者向けの広報とあわせて、セルロースナノファイバーを使用した製品が国際メディアセンターの本展示スペースにおいても展示され、世界各国のメディアにも発信されたということでありました。  さらに、国の研究機関であります産業技術総合研究所を中心に構成されたナノセルロースフォーラムが平成二十六年六月に設置され、現在の会員数は三百十九、うち個人会員が七十七人、民間企業等の法人会員が百九十七機関、あと国の機関や自治体等の特別会員が四十五という構成で、そのうち都道府県は、秋田県や埼玉県、鹿児島県など、森林を多く所有する十六県です。本県においては、大田原市が昨年十月に、また、鹿沼市がことし一月に加入するなど、県内でもセルロースナノファイバーを使った産業創生をしようという動きが広がっております。  本題である「本県における新たな有望成長市場の創出の可能性」について、矢野教授は、「セルロースナノファイバーが活用できる重点五分野など、十分な産業集積と、県の施策であるしっかりとした森林創生ビジョン並びに関東一の企業誘致戦略があるので、可能性は十分にある」との見解でありました。これは、事前に私が資料をお持ちして説明したことにもよります。また、「そのためには、ナノセルロースフォーラムにいち早く加入し、研究・開発を進めたほうがいい」との助言もいただきました。  また、八月十九日、宇都宮大学農学部を訪問した際にも、農学部長を兼任しておられます夏秋副学長と、本題について懇談をしたところ、非常に肯定的なご意見をいただくとともに、先進的に取り組んでいる他県の調査・研究を勧めていただきました。  このようなことから、今月初旬に、国内で最も先進的な取り組みを行っている静岡県へ会派で県外調査に赴き、担当部局から直接取り組み状況を伺い、大変参考になったところでございます。  静岡県は、昨年の六月に全国でいち早く産学官の推進組織であるふじのくにCNFフォーラムを設立し、豊富な森林資源や製紙などの関連産業が集積する地域特性を背景に、セルロースナノファイバーの原料供給から多様な産業用途における製品開発までの一貫した体制整備を目指し、県内経済の活性化や新産業の創出を図ろうとしているとのことでありました。  この動きは、現在、まだ国内のセルロースナノファイバーの生産拠点になっていない静岡県を含む他県でも同様な動きがあり、全国的な流れになりつつあります。しかしながら、本県においては、現段階では「情報収集などに努める」にとどまっております。  そこで、全国で唯一、県名に「木」という文字が使われるほど豊富な森林資源と十分な産業集積を有し、関東一の企業誘致戦略を持つ本県が、一兆円市場とも見込まれ、かつ日本再興戦略二〇一六のもと、国が大いに後押しし、環境にも優しい次世代素材セルロースナノファイバーを活用し、新たな有望成長市場の創出の可能性を探るべく、まずは、特別会員に位置づけられ、地方自治体の会費が無料となっているナノセルロースフォーラムへ加入し、地元の大学や企業、国の研究機関等と連携を図るべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。 ○早川尚秀 副議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの西村議員のご質問にお答えいたします。セルロースナノファイバーは、木材などから化学的・機械的処理によりナノレベルに微細化した繊維状物質であり、軽量でありながら高い強度を持ち、植物由来で環境負荷が少ないなど、その特性を生かしたさまざまな用途への活用が期待される革新的な素材として注目されております。  現在、国内でも企業によるパイロットプラントの建設・稼働が進むなど、さまざまな製品化への取り組みが動き始めており、全国有数のものづくり県であります本県としても、県内企業における利活用が重要になると考えております。  このため、全国の公設試験研究機関や国の産業技術総合研究所等で構成する産業技術連絡推進会議に昨年度設置されたナノセルロース研究会へ、ものづくり企業の技術支援機関であります県の産業技術センターも参加し、情報を収集しているところであります。  また、ナノセルロースフォーラムは、大学や大企業なども会員となって、オールジャパン体制で関係者相互の情報交換や研究開発連携等に取り組んでおり、最先端の情報等の入手が期待できますことから、県としても参加する方向で検討してまいりたいと考えております。  今後とも、セルロースナノファイバーに関する情報収集に努めますとともに、県内企業に対しまして最新情報を提供するセミナーの開催や、大学や企業等と連携した技術交流会の活動を通じて、これからのセルロースナノファイバーの利活用の可能性について研究してまいります。 ○早川尚秀 副議長 西村しんじ議員。    (十三番 西村しんじ議員登壇) ◆十三番(西村しんじ議員) 目の覚めるようなすばらしいご答弁、大変ありがとうございます。  ここで、要望させていただきます。今後、セルロースナノファイバーによる新たな有望成長市場を創出するためには、既に構築されております重点五分野の各産業振興協議会並びにフードバレーとちぎ推進協議会の関係企業や大学コンソーシアム、そして、国の研究機関である産業技術総合研究所や森林総合研究所、ともに茨城県つくば市にございますが、これらとも連携しながら、県が中心に、県産業技術センター等を使っての情報や実習機会の提供、技術支援体制の強化に加えて、新成長戦略研究にぜひともさらに取り組んでいただき、「世界を惹きつける地域資源で稼ぐ地域社会の実現」を目指していただきますよう要望いたします。  ここで、環境森林部長に再質問させていただきます。県は、とちぎ元気発信プランにおいて、平成二十五年度に八十七・六億円であった林業産出額を林業の六次産業化やCLT(直交集成板)への取り組み等により、平成三十二年には百五億円まで上昇させるとしておりますが、次世代素材であるセルロースナノファイバーの出口戦略である製品開発が県内で進み、生産拠点が誘致できれば、この目標は軽々と達成できると考えます。  本県の森林は、県土の約五五%を占めることから、まさに裏山にある資源を次世代素材につくりかえ、県内の各産業において製品化するという循環型で持続可能な産業構築につながることから、とちぎ材の利用促進について今から検討していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 ○早川尚秀 副議長 金田尊男環境森林部長。 ◎金田尊男 環境森林部長 再質問にお答えいたします。セルロースナノファイバーの製品開発の研究が進んでいることにつきましては、木材の生産拡大、さらには、林業の成長産業化を図る上でも大変有意義なものと思いますし、私自身も期待しているところであります。  この製造につきましては、現在、製紙会社などが中心となって研究が進められております。林業サイドとしては、こうした企業に対して、木材を安定的に需要に応じて供給していく役割を担うことになると思います。  今後、産業労働観光部とも十分に連携して情報収集に努めますとともに、研究の動向を見きわめながら、セルロースナノファイバーの加工や生産に対応した木材供給の可能性やその方法などについて検討してまいります。 ○早川尚秀 副議長 西村しんじ議員。    (十三番 西村しんじ議員登壇) ◆十三番(西村しんじ議員) ここで、要望させていただきます。付加価値の高い木材利用により、木材の六次産業化がさらに進んでいきます。木材だけではなく、このセルロースナノファイバーは、あらゆる植物、例えば稲わらとかジャガイモの皮からも生産できることから、一般産業分野の製品化のみならず、例えば私の地元の渡良瀬遊水地、今、ヨシ焼きをやっておりますが、そのヨシを活用して製品をつくったり、野菜の食品残渣からも細かく砕けば生産できます。  そういった意味で、環境負荷にも大いに貢献でき、さらに、地域創生にもつながることから、ぜひ部局横断で全庁的な取り組みが必要となりますので、その点について要望し、次のヘルスケア産業等の新たな成長産業の振興についての質問に移らせていただきます。  県では、少子高齢化のさらなる進展や健康意識の高まり、技術の高度化等の中で、新たな成長産業の振興を推進しているところであります。特にヘルスケア産業やロボット産業など、成長が見込める分野への新たな取り組みを今年度から開始していることは、本県産業を取り巻く社会経済情勢の変化や現状、さらには、未来を見据えた取り組みとして高く評価できます。  健康への意識の高まりなどから健康寿命の延伸が求められる中、今月七日に会派で調査・研究を行った神奈川県では、「ヘルスケアニューフロンティア」を掲げ、iPS細胞の研究や生活支援ロボット等の個別化医療の実現を目的とした最先端医療・最新技術の追求というアプローチ、これが一つと、もう一つがライフスタイルの見直しを目的とした運動習慣の奨励や医食農同源、いわゆる医療と食と農業は源は同じだということでございますが、これに基づいた「未病」の改善というアプローチの二つを融合させて、健康長寿日本一や新たな市場・産業の創出を実現しようとしております。  特に、まだ病気ではないが、このまま放置すると病気になる状態を、東洋医学の考え方に基づき「未病」と定義するとともに、今後、病気になるリスク要因を顕在化し、改善へと向かわしめるための産業を「未病産業」と位置づけ、ブランド化や世界へ発信しているとのことで、これらの先進的な取り組みは大変参考になりました。  本県においては、昨年度、ヘルスケア産業の振興を図るべき領域の特定やその振興方策を検討するために、関連事業者等へのアンケート調査を実施し、今年度は県内の市町や各関係団体・企業等で構成されるとちぎヘルスケア産業フォーラムを設立し、キックオフセミナーや交流会なども開催し、多くの関係者間の交流や振興が図られております。  加えて、昨年、食・栄養、運動、観光など、関係分野と連携した健康維持・増進サービス事業とヘルスツーリズムの二つの分科会が設置されました。しかしながら、ヘルスケア産業を新たな成長産業として振興させるためには、分科会を通じた今後の施策展開が大変重要になると考えます。  そこで、本産業の成長と振興に向けた今後の取り組みについて、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 副議長 香川眞史産業労働観光部長。    (香川眞史産業労働観光部長登壇) ◎香川眞史 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。ヘルスケア関連産業は、医療・介護の公的保険以外の分野で国民の健康維持・増進を支える産業でありまして、今後、市場規模が大きく伸びる成長産業として期待されていることから、新たな産業の振興として取り組みを開始したところであります。  とちぎヘルスケア産業フォーラムに設置しました二つの分科会のもと、さまざまな業種の事業者間の連携、本県の地域資源の活用、さらには、ヘルスケア関連サービスの利用者目線等の視点から、新たなビジネスモデルの創出に向けた検討を進めるとともに、フォーラム会員等に対し、関連産業や企業の動向、国の取り組みなどのさまざまな情報を提供していくこととしております。  今後とも、本県経済の活性化や県民の健康寿命の延伸に向け、栃木ならではのヘルスケア関連産業の振興に積極的に取り組んでまいります。 ○早川尚秀 副議長 西村しんじ議員。    (十三番 西村しんじ議員登壇) ◆十三番(西村しんじ議員) ここで、産業労働観光部長並びに保健福祉部長に要望させていただきます。ヘルスケア産業をビジネスとして成立させるには、既に施行から二年となる健康長寿とちぎづくり推進条例とリンクさせることが非常に重要であり、県民の健康づくりへの関心を高め、意識づくりをさらに高める必要がございます。つくる側だけではなく、使う側の意見をしっかり調査・研究し分析する。その上で製品化及びシステム化していくべきと考えます。  例えば、先進的な取り組みをしている神奈川県では、「持続する社会を構築する」とのビジョンのもと、「ヘルスケアICT」と銘打ち、行政、企業、医療機関、介護施設、研究機関、そして、県民の皆さんが連携し、ICT活用により、個人や患者の健康・安心・生きがいを持続するための基盤となるシステムを構築の上、運用し、目的達成のためのさまざまなツールとして、ヘルスケア関連産業が役立っているとのことでした。  今後、本県がヘルスケア産業を進める際には、部局連携の上、先進事例等も参考にしていただきながら、県民益につながる取り組みを要望し、続いて、新たな成長産業の振興の関連で、産業労働観光部長に再質問させていただきます。  県は、ロボット産業についても、ヘルスケア産業同様、今年度からフォーラムを設置し、企業等によるロボットの研究・開発等への取り組みを支援し始めましたが、ロボット利用者とのマッチングを行うことが必要となります。また、介護施設や農業分野のほか、利用が見込まれる分野への導入を促進させるためには、現場のニーズなど、利用する当事者の意見が大変重要となります。  そこで、ロボット産業を本格的に推進していくための今後の取り組みについてお伺いいたします。 ○早川尚秀 副議長 香川眞史産業労働観光部長。 ◎香川眞史 産業労働観光部長 ただいまの再質問にお答えいたします。ロボット産業関連のフォーラムにおきましても、ものづくり・物流、農林・フィールド(野外)、生活・サービスという三つの分科会を立ち上げています。各テーマごとに専門的な調査・研究やネットワークの形成を行っているわけですが、ご指摘のように、売れないものを研究してもしようがないという部分があります。  まず、自動車のように広範囲な需要があるというのを見込める部分ではないので、個別・具体的な検討をしっかりしていかなければならないと思います。分科会の中には利用者側の方も入っていただいておりますので、そこを大切に取り組んでまいりたいと思います。 ○早川尚秀 副議長 西村しんじ議員。    (十三番 西村しんじ議員登壇) ◆十三番(西村しんじ議員) 先日も既にロボットを使っている県内の企業の常務とお話をさせていただいたが、以前は一千万円したけれども、今は三百万円ぐらいでできるので、もっと使いたいというニーズも膨れ上がっているとのことでありますので、そのあたりも的確に把握しながら、どういうところが欲しているのか、研究・開発をあわせてよろしくお願いいたします。  あと医療・介護、各種産業を初め、幅広い分野でのニーズや潜在的な需要が今後見込まれますので、これも部局横断の全庁的な取り組みを要望いたしまして、次の男女共同参画に基づく地域防災・減災力の向上についての質問に移らせていただきます。  近年の異常気象に伴う災害を教訓に、地域防災・減災力をさらに高めることが求められておりますが、最近の新聞報道によると、先ほども斉藤議員から質問がありましたが、県内の自主防災組織は二千を超えているものの、自治体等がそのまま自主防災組織化されるケースが多く、災害時の地域防災・減災に関する実効性に課題があるとありました。また、平成二十六年度の県政世論調査によりますと、地域の避難所や安全なルートを知っているとの回答は、何と三割ほどであり、加えて、防災訓練に参加したことがあると回答した方は、二割強でありました。  そのため、実践力を身につけた人材育成や体制の強化、災害時のハザードマップをもとに時系列で避難行動をスケジュール化したタイムラインの作成――既にこれは取り組むと言っておりますが、また、それに基づく実践的な避難訓練等の実施が喫緊の課題となっております。  とりわけ、平日や発災時間帯によっては、仕事などの関係から、地域に男性が少なくなるケースも想定されることから、平時において、地域において常に生活をされている女性が、今後地域の防災・減災を支える重要な役割を担うことが期待されております。  そこで、地域の実情をよく知り、細やかで柔軟な発想を持つ女性防災リーダーの養成が急務と考えますが、県民生活部長の所見をお伺いいたします。 ○早川尚秀 副議長 和田裕二県民生活部長。    (和田裕二県民生活部長登壇) ◎和田裕二 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。少子高齢化や単身世帯の増加など社会構造の変化等によりまして、地域で女性が果たす役割は一層重要となってきており、また、災害時の対応についても男女共同参画の視点が求められてきております。  そのため県では、男女共同参画の視点に立って防災ハンドブックを作成しまして、広く県民への周知を図るとともに、それを活用して研修等を実施し、女性が率先して地域の防災活動で活躍できるよう努めているところであります。  また、地域防災力の中核を担う消防団への女性団員の加入の促進や婦人防火クラブの活動の支援に取り組んでいるところでありまして、地域においても女性が主力となった防災訓練も実施されるようになってきております。
     今後とも、市町や関係団体等と連携して、女性が地域の防災活動のリーダーとして活躍できるよう積極的に取り組んでまいります。 ○早川尚秀 副議長 西村しんじ議員。    (十三番 西村しんじ議員登壇) ◆十三番(西村しんじ議員) ただいまご答弁をいただきました、防災ハンドブック等を既につくって研修等に生かしていること、さらに、女性の活躍に重きを置いて取り組んでいただくことは、非常に評価できると思います。  先日、私は、第一回防災推進国民大会に参加してまいりました。防災担当大臣も参加されましたけれども、そこで防災科学技術研究所がさまざまな情報通信技術(ICT)等を活用して、地域防災・減災力をさらに向上させようという取り組みがございました。それらに関する知識は、自主防災組織でも、今後、数年先かもわかりませんが、必要となってきますので、こういった取り組みも視野に入れながらお願いして、県民生活部長に再質問したいと思います。  東日本大震災や熊本地震で明らかになったように、避難所の運営等の災害対応では、男女共同参画の視点が反映されることが重要です。そのため、国において今般、地方公共団体の防災担当、男女共同参画担当、医療・福祉担当、市民協働担当など、地方公共団体において広く防災に携わる職員が、男女共同参画の視点を持って防災施策を企画・立案及び実施できるように育成することを目的とした、男女共同参画の視点からの防災研修プログラムをことし六月に作成いたしました。  そこで、県は、これまでの取り組みとあわせて、本防災研修プログラムを活用し、多様な視点を取り入れた防災体制を今後どのように確立しようとしているのか、県民生活部長の所見をお伺いいたします。 ○早川尚秀 副議長 和田裕二県民生活部長。 ◎和田裕二 県民生活部長 ただいまの再質問にお答えいたします。県におきましては、東日本大震災後に国が取りまとめました男女共同参画の視点からの防災復興の取組指針等を踏まえまして、災害に強いとちぎづくり条例や地域防災計画の改定等に取り組んでまいったところであります。  また、これらに基づきまして、市町に対しましても、避難所運営への女性の参画、あるいは女性・子供に配慮した避難所の環境整備などを促してまいったところであります。  今後は、防災に関する研修におきまして、議員のご指摘にありましたような国が策定した研修プログラムを活用しますとともに、市町にも周知を図り、災害への備えあるいは災害発生時の災害対応の現場において、しっかりと多様な視点からの意見が反映されるように、防災対策を推進してまいりたいと考えております。 ○早川尚秀 副議長 西村しんじ議員。    (十三番 西村しんじ議員登壇) ◆十三番(西村しんじ議員) やはり地域ごとに、例えば防災拠点や避難所の状況が違いますので、それぞれ違った視点でやっていく必要があります。そして、地域住民の方が、実際に災害を受けてわからなかったところが結構あるということをしっかりと酌み取りながら、さらに、国が策定した研修プログラムを定期的に追加見直ししていくことも非常に重要かと思います。実効性がないと先ほどの新聞報道にありましたが、より実践的なものになるように、今後は、県から各市町への指導・助言やきめ細やかな支援を実施していただくよう要望して、次の障害者へのさらなる支援強化についてのうち、最初の障害者就労支援強化についての質問に移ります。  この夏のリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックでは、本県出身の選手が大活躍するなど、見る者に勇気と感動を数多く与えてくれました。特にパラリンピックでは、開催当初から比較すると、想像を超える進化を遂げた装具や選手の方々の並々ならない努力もあり、今後、飛躍的な活躍が期待できると思います。  これは、スポーツに限らず、仕事でもそうあるべきと考えます。それは、目覚ましいICTの進化や人工知能(Ai)、IoTによる仕事のバリアフリー化がさらに進展して、ハンデという壁がどんどん低くなっていくと私は思っております。  そのような中、ことし四月から改正障害者雇用法が施行され、障害者に対する合理的配慮の提供義務と差別禁止が加えられ、就労環境の拡大が期待されております。  また、県は、今年度から五カ年で推進する第十次栃木県職業能力開発計画において、障害のある方への働きやすい環境の整備や活躍の促進が必要との認識のもと、職業能力開発と就労支援を今後の課題と捉え、個々の個性に合った職業能力開発の充実を実施目標として掲げるとともに、来年度本県にて初開催となる全国障害者技能競技大会(全国アビリンピック)を通じて、障害者の雇用促進と地位の向上を図ろうとしております。  加えて、県は、新たな成長分野で活躍できるICTに対応できる人材育成も基本施策としております。ICTによる就労は、比較的ハンデが少なく、自宅での業務も可能となることから、障害者の方の雇用フィールドの拡大が、さらに大きく期待できるわけでございます。  そこで、県は、障害者雇用率の引き上げに向けた働きやすい環境の整備や活躍促進のため、職業能力開発訓練の見直しも含めて、今後具体的にどう取り組んでいくのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 副議長 香川眞史産業労働観光部長。    (香川眞史産業労働観光部長登壇) ◎香川眞史 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、障害のある方の就労を支援するため、これまで障害者雇用に積極的な優良事業所の表彰や就業体験の機会を提供する事業所の拡大を図ってきたところでありますが、今年度からは、さらに、障害者雇用推進トップセミナーの開催や法定雇用率に満たない企業に対するコンサルティングを実施し、企業側の意識の醸成や働きやすい環境づくりに一層取り組んでまいります。  また、就労に意欲的な障害のある方には、持てる能力や適性に応じた訓練が極めて重要であることから、産業技術専門校において実施しているパソコン・CAD基礎科などのICTを見据えた職業訓練に加えまして、事業所における実践的なオーダーメード型の訓練の充実を図ってまいります。  県といたしましては、企業の障害者雇用が進むよう、栃木労働局等関係機関とも連携しながら、障害者の就労支援に取り組んでまいります。 ○早川尚秀 副議長 西村しんじ議員。    (十三番 西村しんじ議員登壇) ◆十三番(西村しんじ議員) ここで、要望させていただきます。今後、ICTの発展により、テレワーク等、在宅での就労が多くなることが予想されます。  しかしながら、現状では、企業への在宅就業障害者に対する支援制度はあるものの、本県では、実質的に活用されていないのが現状でございます。今後、在宅での就業拡大が予想される中で、企業への働きかけ等は既にやっていただいておりますが、さらに、新たな情報提供等、スピード感を持った取り組みを要望いたします。  また、障害者雇用率については、年々向上しているということで、私も確認させていただいているものの、本県の雇用率は全体でまだ二%を下回っているのが現状でありますので、関係施設、事業所等とさらに連携しながら、新たな課題等を抽出していただいて、さらなる障害者雇用率向上に向けた取り組みを強化していただくことを要望し、次の福祉的就労の工賃の向上についての質問に移らせていただきます。  障害者の自立と社会参画を促すための重要なポイントとなる就労支援については、一般就労への移行支援と、就労継続支援事業所等における福祉的就労への支援の二つが柱となって今、推進されております。  また、来年、本県で開催される全国アビリンピックにおいては、パソコン操作や電子機器組み立て、ビルクリーニング、オフィスアシスタントなど、さまざまな競技種目が開催され、障害のある方たちの能力や技術力を大いにPRするよい機会となると考えます。  しかしながら、就労に関しての知識、能力向上のための訓練をしながら、その対価として工賃を受け取っている福祉的就労については、一般就労に比べて賃金の水準が低く、最低賃金にも遠く及ばない状況であります。  県では、昨年十月に県障害者工賃向上計画三期計画であるとちぎナイスハートプランを策定し、平成二十九年度には目標工賃月額を二万円に引き上げることとされております。  そこで、工賃向上に向けて、就労継続支援事業所等への支援も含め、県はどのような取り組みをし、実績を上げ、今後、さらにそれを引き上げていこうとするのか、保健福祉部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 副議長 近藤真寿保健福祉部長。    (近藤真寿保健福祉部長登壇) ◎近藤真寿 保健福祉部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、これまでとちぎセルプセンターと連携し、受注確保等に取り組むとともに、就労支援事業所の職員を対象としたセミナーを開催し、販売技術向上等に取り組んできた結果、平成二十七年度の平均工賃は、月額で対前年比一・八%増の一万五千七百二十七円となりましたが、目標工賃の一万六千円は達成できませんでした。  さらなる工賃向上には、魅力ある商品をつくり、購入につなげていくことが重要でありますため、昨年度から、県内有名シェフと協働した製品のブランド化にも取り組んでいるところであります。  また、今年度からは、ドライフルーツメーカーや農業用機械など、新たな商品開発や農福連携によるユニバーサル農業等に取り組むための設備整備に対して補助を行う、とちぎナイスハートいいもの応援事業を実施しまして、平均工賃の底上げを図っているところであります。  今後とも、ナイスハートバザール等の開催を通じて、広く企業や県民へのPRを行いますとともに、商品開発等の支援による販路の拡大を図り、障害者の工賃の向上に努めてまいります。 ○早川尚秀 副議長 西村しんじ議員。    (十三番 西村しんじ議員登壇) ◆十三番(西村しんじ議員) ただいまご答弁いただき、さまざまな取り組みをされているというのが、改めてわかりましたけれども、やはり賃金向上につなげるためには、企業にとって利益が出る、売れる商品の開発、さらに、何が障害者の方たちにできるのかという職務分析、これに合った職業訓練を、産業労働観光部とも連携しながらしっかりと掘り出しをしていくことと、これから仕事の形態がICT、IoT等によって変化してまいりますので、さまざまな形で付加価値の高い就労につなげる取り組みが非常に重要でございます。  特に障害者の方はハンデがあるわけでございますから、ハンデを感じさせないような就労支援に改めて取り組んでいかないと、まだ目標値よりも低いということですので、私は全国トップの賃金を獲得するぐらいの意欲を持って取り組んでいただきたいと思います。そうすれば、地方創生という点でも、あそこは非常に環境がいいということで、いろいろな方が集まってくるわけでございます。  こういった取り組みもぜひ行っていただき、障害者の方もICTを身につけることによって、就労の幅も大きく広がっていくわけですから、労働局や関係機関、企業・団体、さらには学術機関等と連携しながら、賃金向上につながる新たな施策を展開していただくよう要望しまして、次のグローバル人材育成等についてのうち、最初のグローバル化に向けた人材育成についての質問に移らせていただきます。  近年のグローバル化の進展や社会情勢の大きな変化の中においては、中長期的な視点に立った実効性のあるグローバル人材育成への取り組みが重要であります。  先日、会派にて調査・研究を行った徳島県においては、徳島の子供が生きた英語を身につける場として、Tokushima英語村プロジェクト・ステップアップ事業に取り組んでいます。その中には、来県外国人や世界に向けて郷土徳島の魅力を英語で発信できる人材を育成するために、高校生ジュニア観光ガイド養成講座などがあり、英語力、コミュニケーション力、国際感覚を身につけさせるすばらしい取り組みであります。  具体的な講座の内容は、英検準二級から二級程度の能力を持つ生徒を対象に、四つありまして、一つ目は県内の魅力に関するテーマ研修、二つ目が英語通訳、タブレット端末活用術研修、三つ目が京都府や奈良県など、文化財や文化施設が多いところへの県外視察学習、四つ目は県内観光地での実習等により、一年間かけて育成します。  そして、これらの取り組みによって、生徒たちの英語力の向上に加え、地元の伝統や文化についての理解が深まり、愛着や地域貢献の素養を大いに育めたという成果が顕著にあらわれているということでした。  本県においても、四年後の東京オリンピックパラリンピックの開催を見据えた際の通訳や観光ガイド、また、本県在住の外国人の方への日常的な相談やコミュニケーション等に係る語学ボランティアなどが今後さらに必要とされていることなどから、教育現場においても幅広いグローバル人材の育成が求められております。  そこで、このような地域貢献にかかわるグローバル人材の育成について、どのように考え、また、今後どのように取り組んでいく考えなのか、教育長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 副議長 宇田貞夫教育長。    (宇田貞夫教育長登壇) ◎宇田貞夫 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。グローバル化が進展する社会におきましては、自己のアイデンティティーをしっかり確立し、地域と世界のつながりを意識しながら行動できる人材が求められております。  こうした人材を育成するためには、主体的に地域とかかわろうとする意欲を育むとともに、異なる文化的背景を持つ人々と積極的にコミュニケーションをとることができる能力を向上させる必要があると考えております。  そのため県教育委員会では、児童生徒が、伝統や文化の理解を深め、本県の地域資源について英語を活用して発信する活動を行うなど、グローバル化に対応した教育の充実に努めているところでございます。  今後は、このような取り組みの成果を県内に普及し、グローバルな視点を持って活躍できる人材の育成に努めてまいります。 ○早川尚秀 副議長 西村しんじ議員。    (十三番 西村しんじ議員登壇) ◆十三番(西村しんじ議員) 既に足利市では、同じような取り組みをされているので、非常に実効性があるように思います。実際、私も県の職員から話を聞いただけなのですが、聞いただけでも非常にすばらしいということはびんびん伝わってきました。全く一緒ということではありませんけれども、こういった取り組みが積極的に県内でいろいろ行われております。  こういった取り組みは、例えば留学に比べて非常に費用が安価であります。日光でもそうですが、これからどんどん外国人が県内に来るわけですから、それをどう生かして、そこで実力をつけていくか、それによって、また、子供たちが将来どういう職業につきたいとか、いろいろ異文化について触れることによって、幅広い人間力が培われると私は思っておりますので、ぜひこういう取り組みを積極的に行っていただくよう要望しまして、次の地域貢献のための人材育成についての質問に移らせていただきます。  県はこれまで、県コミュニティ協会が実施するコミュニティ研修会やコミュニティカレッジ等への支援に加え、とちぎボランティアNPOセンターにおける活動の場の提供や情報収集・提供、相談・コーディネート等により、さまざまな地域課題解決のための後押しを長年行ってこられました。  このことにより、地域課題ごとのNPOやボランティア団体などが数多く誕生し、地域創生の原動力となっているのは確かでございます。私もこの取り組みを非常に高く評価しておりまして、全国でも先進的な取り組みをされているということで、目からうろこが落ちる思いでございました。  しかしながら、高齢化等によるNPOなどの運営やコーディネートを担当できる中心となる人材の不足を、どう解消できるかが喫緊の課題となっているということで、これも実は神奈川県でお話を聞いたところ、本県でも全く一緒だということで、これは全国共通の課題なのです。  そこで、さらに多様化する地域課題の解決に向けた人材育成に関する今後の取り組みについて、県民生活部長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 副議長 和田裕二県民生活部長。    (和田裕二県民生活部長登壇) ◎和田裕二 県民生活部長 ただいまのご質問にお答えいたします。少子高齢化や人口減少の進行等に伴いまして、地域課題は複雑・多様化しており、その解決に向けた担い手の確保が重要となっております。  そこで、地域課題の解決を促進するため、NPOや地域団体等、協働の主体間をつなぎ、取り組みを牽引する地域協働推進員制度を創設して、その養成に取り組んでいるところであります。  さらに、若者の主体的な参加につながるよう、中学生向けのボランティアに関する出前授業や、若者が住民とともに地域のイベント等を企画運営するコミュニティボランティア体験事業を実施するなど、将来の地域活動の担い手の確保にも努めているところであります。  今後とも、NPO等多様な主体との連携を図りながら、地域における協働を推進する人材を育成し、豊かで活力ある地域づくりに取り組んでまいります。 ○早川尚秀 副議長 西村しんじ議員。    (十三番 西村しんじ議員登壇) ◆十三番(西村しんじ議員) ここで、教育長に再質問させていただきます。先ほど中学生等にボランティアに関する取り組みを周知していただいているとの答弁がありました。私は、やはり今の教育は、課題解決型教育、地域でどのようなことが課題なのか、何のために勉強するのか、地域の課題をしっかりと克服して役に立つ、そういったことが根底にあれば、目的を持ってきちっとした教育につながっていくだろうと思います。  県民生活部の取り組みとあわせて、教育委員会がぜひ連携していただきたいと思っておりますが、これに対する所見を教育長にお伺いいたします。 ○早川尚秀 副議長 宇田貞夫教育長。 ◎宇田貞夫 教育長 ただいま議員ご指摘のとおり、これからの子供たちには、課題解決力、コミュニケーション力が非常に大切な部分になりますので、次期学習指導要領の改訂等でも、その点について、例えばアクティブラーニング等を取り入れて推進していくこととしております。そういう点からも、県民生活部長の話にありましたように、中学校の生徒たち等に対しても指導、普及を図っていきたいと考えております。 ○早川尚秀 副議長 西村しんじ議員。    (十三番 西村しんじ議員登壇) ◆十三番(西村しんじ議員) 知事がいつもおっしゃっておりますように、人づくりがまさに地方創生の肝でございますので、私も元教育者として、ぜひこれにしっかりと取り組んでいただくよう強く要望させていただきます。  また、県民生活部長に要望したいのですが、特に地域で中核となる人材については、職場や団体等でも中核となる方が多いと思うのです。ですから、こういった方については、例えば仕事を休まざるを得ないといった場合などに、しっかりと補助などをするような制度を設けていただくようにぜひ要望としてお願いしたいと思います。  地域貢献のための中核人材の育成というのは、本当に喫緊の課題でございますので、ぜひさらに推進が図れるよう要望しまして、最後の質問でございます都市計画道路三・四・七号小山野木線の早期整備について質問したいと思います。  現在、小山市・野木町を連絡する南北の幹線道路は、国道四号のみであり、朝夕の通勤時のみならず、恒常的に渋滞が発生し、周辺住民の生活にも支障を来しているところでございます。  都市計画道路三・四・七号は、小山野木線として、国道四号の東側を並行して小山市・野木町を連絡する重要な道路でありまして、この地域の連携強化や災害時の代替道路(リダンダンシー)となるため、平成二十四年三月に都市計画決定されたところでございます。  本路線のうち、小山市が施工する平和工区がことし三月に完成し、粟宮工区については、平成二十九年度に供用が予定されております。このように整備が進む中、小山市が計画している粟宮新都心エリアでは、警察署、消防署が移転し、さらに、小山市民病院が移設するなど、地域の市街化形成が非常に促進されるとともに、本路線上に野木町第二工業団地が整備決定となったことによって、ますます南北の交通需要が増加傾向となっております。  さらに、小山市を中心とする定住自立圏構想の進展や圏央道の完成により、物や人の流れが大きく変わっていくと期待されております。  加えて、国がことし三月に策定した首都圏広域地方計画にも本地域が位置づけられており、ポストオリンピック・パラリンピックを見据え、本路線の未整備区間の早期の整備が急務と考えますが、県土整備部長の所見をお伺いいたします。 ○早川尚秀 副議長 印南洋之県土整備部長。    (印南洋之県土整備部長登壇) ◎印南洋之 県土整備部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県におきましては、現在、市街化が進む粟宮新都心エリアにおきまして、小山野木線の一部を構成する県道小山環状線粟宮工区の事業を推進しているところであり、今年度も引き続き用地取得及び改良工事を推進してまいります。  また、小山市平和から野木町潤島間の延長約二・四キロメートル区間につきましては、今年度、道路詳細設計を実施しているところでありまして、来年度は国の交付金事業を導入して、事業に着手していく予定であります。  この地域の重要な路線でございますので、今後とも、小山市、野木町と連携を図りながら、早期完成に向け事業を推進してまいります。 ○早川尚秀 副議長 西村しんじ議員。    (十三番 西村しんじ議員登壇) ◆十三番(西村しんじ議員) ただいま県土整備部長から早期に整備していくという答えがございました。できれば、四年後のオリンピックに間に合うように私は願っているのですが、さまざまな交付金等ございますので、さらに、今以上に早く整備できるように要望したいと思います。  私、これは、議員になって最初の年から、毎回と言っていいほど質問させていただいておりますが、整備を早くやってくれという地域住民の強い声をたくさんいただくものですから、地域住民の代弁として、毎回出させていただいていますので、そのあたりを強く感じていただいて、一刻も早い整備を要望いたします。  これで全ての質問を終わるわけでございますが、いずれにしても、今回の質問につきましては、全てが地方創生につながる重要な質問でございます。知事初め、執行部の皆さんにおかれましては、力強い推進をお願いします。  最後に、福田富一知事のこれまでのすぐれた県政運営によって、県民所得や魅力度などランキングアップが図られ、確実にとちぎ創生が前へ進んでおります。ぜひとも引き続きすぐれた県政手腕を発揮していただいて、さらに元気な栃木へ、そしてさらに、選ばれるとちぎを目指していただいて、これを具現化していただくよう切に要望いたしまして、私の全ての質問を終了させていただきます。大変ありがとうございました。 ○早川尚秀 副議長 この際、十五分間休憩したいと思います。議事はただいまの継続議事であります。
     休憩いたします。  午後二時三十五分 休憩             ――――――――――――――――――――――――――――― ◎原山光史 事務局長 出席議員数を報告いたします。  ただいまの出席議員数は四十七名であります。             ―――――――――――――――――――――――――――――  午後二時五十分 開議 ○五月女裕久彦 議長 ただいまから会議を開きます。議事は休憩前の継続議事であります。発言通告者に対し、発言を許します。齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇) ◆五番(齋藤剛郎議員) 一般質問、本日の最終者となりますが、地域の実情や県民の皆様の声を執行部の皆様へと届けさせていただきたいと思います。  そこで、私は今回、「マイノリティーからの栃木県版グローバル」をテーマに質問させていただきます。少し説明させていただきますが、マイノリティーとは、一言で言えば少数派であり、時としては社会的な少数派も意味しております。 グローバルとは、世界的とか大きな視点で、という意味であります。つまりは、時には少数派の意見となるが、オール栃木として捉えるべき意見があるのではないかという思いを今回のテーマといたしました。  まず初めに、観光振興についての一つ目として、とちぎ自民党議員会螺良議員の代表質問を受けまして、デスティネーションキャンペーン、いわゆるDCの推進についてお伺いいたします。DCは、全国のJRグループ六社と開催する地域との協働で取り組むキャンペーンであり、集中的な広告宣伝やプロモーション活動によって全国からの誘客を図る、国内最大規模の観光キャンペーンであります。したがって、全国に開催地域の名が知れ渡るとともに、地域の活性化にもつながる、まさに大型の観光キャンペーンとなるわけであります。  本県は、福田知事の強力なトップセールによりまして、平成三十年春のDC開催地域に指定されたわけでありますが、本番までの準備期間はあと一年半、DCの前年に行われますプレDCまでは半年となりました。  去る八月五日には、知事をトップに市町、観光や交通関係の団体、さらには経済や農林関係の団体など、百四十四もの団体から構成される、まさに官民一体となった実行委員会が設立されたところであり、DCに向けて、今後、万全の準備が進められていくものと期待をしているところであります。  全国の駅などにおいて、ポスター等により、大々的に広告宣伝を行っていただけることは、大変にうれしいことでありますし、観光資源のさらなる掘り起こしや磨き上げといった地域の強力な活性化にもつながることは、大変にありがたいことであり、代表質問の答弁にもありましたように、まさにDCの遺産、DCレガシーにつながることと思います。  しかし、しっかりとした事業計画を作成し戦略的に実施をしなければ、せっかくの機会も無駄になってしまうのではないでしょうか。有名有力県を目指す本県としての魅力を全国に知らしめるためにも、このDCをぜひとも成功させなくてはなりません。  そこで、改めて、DCにかける意気込みと今後の取り組みについて、知事にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 福田富一知事。    (福田富一知事登壇) ◎福田富一 知事 ただいまの齋藤剛郎議員のご質問にお答えいたします。観光は、幅広い分野で経済波及効果が期待できる重要な産業であります。デスティネーションキャンペーン、いわゆるDCは、この観光産業をさらに発展させる起爆剤となるものであることから、私は、この機会を千載一遇のチャンスと捉え、本県の知名度向上や地域の活性化につなげてまいりたいと考えております。  このため、本県の誇る豊かな自然や歴史・文化など観光資源のさらなる掘り起こしと磨き上げを図るとともに、ターゲットを明確にした効果的で多彩な誘客プロモーションを実施し、多くの観光客を引きつけ、呼び込んでまいります。  また、本県を訪れるお客様に満足していただき、再び本県を訪れてもらえるよう、県民総参加によるおもてなし向上運動を展開するなど、お客様を温かくお迎えする準備にもしっかり取り組んでまいります。  さらに、DC版の周遊パスポート事業や、磨き上げた県内各地の観光資源を組み込んだ広域周遊ルートの形成などに取り組み、県内の全ての地域において観光誘客によるにぎわいを創出できるよう、DCを戦略的かつ計画的に展開してまいります。  今後とも、市町、観光関係団体はもとより、経済、農林漁業など幅広い関係団体と密接に連携を図り、オール栃木体制で万全の準備を進め、DCを必ず成功に導く考えであります。  そして、DCの成果、いわばDCレガシーを将来にわたり県内全域で継承し、とちぎ観光立県戦略に基づく「観光で活力ある地域(まち)づくり」を力強く進めてまいります。 ○五月女裕久彦 議長 齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇) ◆五番(齋藤剛郎議員) 知事より大変力強いご答弁をいただきました。まさに地域を磨き上げるためには、DCは重要な事業であると思います。  それでは、産業労働観光部長に再質問させていただきます。DCの成功に向けては、各地域における取り組みが重要であることは言うまでもありません。  そこで、平成三十年のDC、さらには平成二十九年のプレDC、平成三十一年のアフターDCも含めた、この三年間において、各地域における観光資源の掘り起こしや磨き上げをどのように推進していく考えなのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 香川眞史産業労働観光部長。 ◎香川眞史 産業労働観光部長 ただいまの再質問にお答えいたします。観光資源のさらなる掘り起こし、磨き上げにつきましては、何よりも地域の状況を最も熟知している、まず市町、それと各地の観光関係団体、そして旅館、ホテル、ペンションなど事業者の皆さん、この地元の役割というのが一番大きいのではないかと考えております。  このため、県といたしましては、地域分科会を五つのエリアごとに設定しまして、魅力的なコンテンツや周遊ルートの掘り起こしに取り組んでまいりたいと思いますが、個々の磨き上げでできたものだけでは、ばらばらになってしまいますので、それをいかに有機的につなぎ合わせて、広域周遊促進に向けて取り組んでいくかが大きな課題になると思います。 ○五月女裕久彦 議長 齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇) ◆五番(齋藤剛郎議員) 市町やそれぞれの観光団体、地元との連携をしっかりと図っていくとのご答弁でありました。  ここで、要望させていただきます。私の地元、那須町におきましては、早速那須町デスティネーションキャンペーン実行委員会が設立されたところであります。しかしながら、DCといいますと既存の観光地に特化しているようなイメージを受けてしまいがちであり、市町あるいは地域によってDCへの取り組みに対して温度差があるのではないかと思っております。  栃木県は、地域の特性が大変豊かな県であると思っております。我が那須町や那須塩原市、日光市などの観光地はもちろんでありますが、ニッチな観光資源、つまりは少数な方々が好む観光資源もあるかと思います。まさに既存の観光資源だけでなく、マイノリティーな観光資源を新しく掘り起こしていくこともDCの大きな目的であり、栃木県のグローバルな観光資源として全国に宣伝する絶好の機会であると思います。どうか、県内広く、多くの市町としっかりと連携を図り、まさにオール栃木体制で臨んでいただき、DCをきっかけに幅広く県内各地域をくまなくアピールしていただけますよう要望させていただき、次の質問に入ります。  続きまして、同じく観光振興についてでありますが、日本版DMO形成への取り組みについてお伺いいたします。従来の観光地における観光地域づくりの推進役は、地元の観光協会や行政が担ってまいりました。  しかし、これから観光客のニーズが多様化する中、さらには、グローバルな視点も踏まえての観光地域づくりを考えたときには、さまざまな業種と観光業とが連携を図り、多様なニーズに応えられるように客観的でリアルタイムな各種データの収集を行い、民間のアイデアや手法を積極的に取り入れて観光地域づくりを行っていく必要があります。  まさにその要請に応えるために、観光庁が打ち出したのが日本版DMOであります。DMOとは、Destination(ディスティネーション) Marketing(マーケティング)、またはManagement(マネジメント) Organization(オーガニゼーション)の略でありますが、地域の観光マネジメントとマーケティングを一本化し、観光と地域づくりを一体として戦略的に行い、着地型観光のプラットフォームとしての役割を担う組織がDMOであります。  少々わかりにくい説明ではありますが、つまり、これからの観光地は、地域のさまざまな関係者を巻き込みながら、地域が一体となって観光地域づくりを推進する必要があるということであります。したがって、観光地域づくりのかじ取り役、まとめ役、そして推進役として、県内各地域で日本版DMOを形成していくことが、栃木県の観光振興につながると思います。  そこで、栃木県として、日本版DMOの形成にどのように取り組んでいくのか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 香川眞史産業労働観光部長。    (香川眞史産業労働観光部長登壇) ◎香川眞史 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。観光客の多様なニーズに応え、地域の幅広い関係者と連携した魅力ある観光地づくりを進めるためには、地域観光のマーケティングやマネジメントを担い、地域が主体となった観光地づくりの推進役となるDMOの形成が重要と考えております。  このため、県内五つの観光エリアに立ち上げた、世界に通用する魅力ある観光地づくり広域連絡会議を活用いたしまして、DMOによる観光地づくりの先進事例の情報共有や、外国人観光客受け入れ体制整備に向けたロードマップとなる地域版プログラムづくりを通じて観光地づくりに対する関係者間の意識の共有を図るなど、県内各地のDMO形成を促進しているところでございます。  また、県内各地域のDMO等と協働しまして、本県観光のかじ取り役となる担い手が必要であるため、まず県観光物産協会がDMOを目指して取り組むマーケティング調査や観光戦略の策定を支援するなど、県内を活動エリアとする県域版DMOの形成を促進してまいります。 ○五月女裕久彦 議長 齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇) ◆五番(齋藤剛郎議員) これから栃木県におきましても、県内各地と協働した上で県域版DMOを検討していくというご答弁でありました。  それを踏まえて、再質問させていただきます。DMOの形成に関しましては、県内におきましても、DCへの取り組みと同様、各市町や地域によって温度差があることと思います。また、全ての市町でDMOが形成されることが、必ずしも現実的ではないとも思うところであります。つまりは広く大きな視点で栃木県全域を活性化するためには、まさに産業労働観光部長のおっしゃられた県域版のDMOをしっかりと形成し、各地域の観光関係団体等と連携していくことが重要と考えます。  そこで、ご答弁にもございましたが、県は県域版DMOの役割をどのように考えているのか、産業労働観光部長に改めてお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 香川眞史産業労働観光部長。 ◎香川眞史 産業労働観光部長 再質問にお答えいたします。地域の特色を生かした観光誘客をそれぞれ進めるためには、先ほど申し上げましたとおり、実情をよく知る地元の皆様が主体となってその準備をする必要があるということでございますが、DMOの形成というのは、協議会等と違いまして、かなり厳しい要件がございます。人的なもの、財政的なものも含めて、その役割がきちんとしたものをつくらないと、ということがございますので、従来の観光協会等を新たにつくるという以上に、難しいものがあるというのはご指摘のとおりでございます。  そういった関係上、資源を結びつけ有機的にということでございますが、やはり県域版をまずしっかりつくって、そこを中心に発散していくという形で、既存の県観光物産協会を中心に、そういった形成を図って地域を支援していきたいと考えております。 ○五月女裕久彦 議長 齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇) ◆五番(齋藤剛郎議員) ここで、要望させていただきます。ただいまの産業労働観光部長のご答弁の中にもありましたように、この日本版DMOを観光庁に登録するに当たり、五つの登録要件が示されているところでございます。  実は那須町におきましては、この五つの要件のうち、一つだけを除いては、既に全ての要件を満たしているところであります。そのクリアされていない要件が、まさに産業労働観光部長のご答弁にもあったところでございますが、データの収集や分析の専門的な人材をこのDMOのために最低一名、専従で用意しなくてはならないということであります。  日本版DMOは、余力のない観光地がこのままでは廃れてしまうとの危惧から策定したものであると思いますが、余力がないということは資金的にも厳しいわけであり、専門的な人材を専従で雇用することは極めて難しいのが現状であります。これは、那須町だけでなく、県内各地域においても日本版DMOを設立することが難しく感じてしまう要件ではないかと推測されます。  そこで、ぜひとも県としては、県全域でのグローバルな発展だけではなく、各地域の発展も踏まえて、このマイノリティーな要件も含めて、各地域の実情、今の観光地の現状を国にお伝えいただけますよう要望させていただきます。  続きまして、観光振興についての最後といたしまして、教育旅行の誘致推進についてお伺いいたします。修学旅行や林間学校、宿泊学習やスキー教室など、学校行事の一環として行われる、いわゆる教育旅行において、児童生徒が他県を訪れる機会は数多くあることと思います。  そんな中、本県におきましては、栃木県の文化や歴史、そして自然に触れるため、日光地域を初めとする各地域に、多くの教育旅行生が県外から訪れてくださっているものと思います。小中高と、まさに学生のときに教育旅行として訪れた地域は、深く心に刻まれ、よき思い出として記憶に残ることで、大人になってから再度訪れることはもちろん、うまくいけば住んでもらえる、そんな可能性も秘めているのではないかと考えております。  また、皆様の記憶にある教育旅行といいますと、同学年全ての児童生徒が同じホテルや旅館に泊まることが多かったのではないでしょうか。  しかし、最近では、大きなホテルや旅館だけではなく、数カ所のペンションや民宿にクラスごとに分かれて宿泊をする、いわゆる分宿による教育旅行も行われており、その地域を肌で感じることができることから人気があると伺っております。 この分宿による教育旅行は、県内の宿泊業にとっては顧客の開拓につながる一つの新しい取り組みであり、県内の観光振興に結びつくことであると思います。  そこで、県内各地域へさまざまな形態の教育旅行のさらなる誘致を推進していくことは大変意義深いと考えますが、県として今後どのような姿勢で取り組む考えか、産業労働観光部長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 香川眞史産業労働観光部長。    (香川眞史産業労働観光部長登壇) ◎香川眞史 産業労働観光部長 ただいまのご質問にお答えいたします。教育旅行につきましては、昨年度、県観光物産協会において教育旅行研究会を開催いたしまして、本県の特性を生かした教育旅行のあり方等の検討を行い、教育旅行ニーズに応える体験学習素材や広域周遊ルートづくりなどの充実、効果的な情報発信の必要性等の意見が出されたところでございます。  また、台湾からの教育旅行の誘致を積極的に進めるため、県教育委員会とも連携しながら、キーパーソンである台湾の高等学校長の招聘などに取り組んでまいりました。この結果、今年度は七校程度の受け入れが予定されるなど一定の成果が見られるところでございます。  県といたしましては、引き続き国内外からの教育旅行の誘致を図るため、教育旅行にも生かせる各地域の魅力ある体験メニューづくりや広域連携の取り組みを促進するとともに、県内観光地の安全・安心のPRに努めるなど、教育旅行に積極的な市町や観光協会の取り組みを支援してまいります。 ○五月女裕久彦 議長 齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇) ◆五番(齋藤剛郎議員) 教育旅行につきまして、国内だけでなくグローバルな視点で取り組みをされているという、ありがたいご答弁をいただきました。  ここで、要望をさせていただきます。休日の長期連休化、自家用自動車の発展と普及、さらには観光の多様化などにより、栃木県は日帰りでの観光が多くなり、ややもすれば通過するだけの県となってしまうと、宿泊業の皆様は強い危機感を感じているところであります。新たな観光の展開、まさにマイノリティーな観光を確立することで、観光資源豊かな栃木県が、さらなる観光立県として飛躍することを願いまして、次の質問に移りたいと思います。  続きまして、山林の再生に向けての取り組みについてお伺いいたします。栃木県は、大変質のよい木材が産出される県でもあり、そのままの無垢材として利用される、いわゆるA材の割合が九〇%と高いことでも知られております。  しかし、県内の山林を見渡しますと、広く荒廃してしまった植林地や里山林が目につくのも現実であり、林業の衰退とともに山の手入れが滞っている現状も否めず、それらが自然環境に与える影響も小さくありません。荒廃した山林に手を入れ、再生させることは、生物多様性の観点からも、重要な生態系を形成するためにも、必要かつ喫緊の課題であると考えます。  そこで、A材に加え、やや質が劣るB材の活用も可能な集成材や、新しい建築材であるCLT(直交集成板)などの活用も見据え、しっかりとした稼げる林業を確立することで、荒廃した山林を生かし、再生することが可能になるのではないかと思いますが、県としてどのように取り組んでいくのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 金田尊男環境森林部長。    (金田尊男環境森林部長登壇) ◎金田尊男 環境森林部長 ただいまのご質問にお答えいたします。先人の手によって植林され、大切に育てられてきた森林を将来にわたり健全に維持していくためには、これを支える林業の役割が極めて重要であります。  このため県は、林業経営を持続的に成長させるため、皆伐の拡大と、森林組合など川上の事業体の意識改革や経営改革を進めています。  平成二十六年度にはモデル事業を導入し、皆伐を支援してまいりましたが、この結果、素材生産のうち皆伐により生産された木材の割合が、ここ五年間で約一割から三割にまで増加する見込みであります。  また、森林組合の中期経営計画や森林所有者等が作成する森林経営計画に皆伐の数値目標を明記することにより、生産拡大と森林資源のフル活用型経営への転換を強力に指導しているところであります。  こうした取り組みによりまして、建築用材からチップ材まで多様化する需要に応じられるよう供給力を向上させ、稼げる林業を確立していくことによりまして、荒廃した山林の再生を図ってまいります。 ○五月女裕久彦 議長 齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇) ◆五番(齋藤剛郎議員) それでは、再質問をさせていただきます。今の荒廃した山林が手入れをされない理由はさまざまであると思いますが、販売価格よりも経費の方が高い、いわゆる赤字となることが大きな要因であることは言うまでもありません。先祖代々受け継がれてきた山林ではありますが、維持していくことが難しくなり、手放してしまう事例も多くあると耳にしております。さらには、地元ではない方の手に渡ってしまった山林は、丸裸にされてしまい、その後何も植林されないことで、土砂崩れの心配はもちろん、山の生態系が崩れてしまっているとも聞き及んでおります。  私は、このようなさまざまな問題が山積する山林におきましては、環境森林部長のご答弁にもございましたように、荒廃した山林を全て伐採する、いわゆる皆伐をする必要があり、そして、新しい植林を行うことがこれからの山林をしっかりと保全するために必要な作業であると考えておりますし、皆伐後の植林におきましては、その後の安定した維持管理のためにも、将来的に稼げる材を植える、もしくは生物多様性の観点から広葉樹林を再生させるなど、さまざまなことが考えられると思います。  また、CLTや、先ほど西村議員の質問にもありましたセルロースナノファイバーなどの、木材の新たな用途の広がりを見込み、成長が早いアカシヤやユーカリなどの早生樹の植林を進めることも一つであると考えます。  そこで、今後は多様な森づくりを推進すること、それこそが林業の振興、そして、山林の再生・保全につながると考えますが、県の考えを環境森林部長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 金田尊男環境森林部長。 ◎金田尊男 環境森林部長 再質問にお答えいたします。我が国では、戦後の旺盛な木材需要に応えるために自然林を伐採して、スギやヒノキなどの人工林を拡大してまいりました。しかし、その後の木材輸入の自由化、住宅様式の変化、またエネルギー転換などによりまして木材需要が大きく低下して、その結果、戦後植林した当時と現在の木材需給の間に大きなミスマッチが生じている、これが現状かと思います。  そうした中で今、戦後植林をした人工林が伐採、更新の時期を迎えているわけでございまして、議員ご指摘のように、皆伐した後に何を植えていくのか、五十年後、百年後を見通して、どういう森林をつくっていくのかということが今、必要になってきているものと考えております。  その中では、議員からもご指摘がありましたように、人工林を伐採した後に広葉樹を主体とした自然林に誘導していくこと、また、今後需要の増加が見込まれるエネルギーの原料、あるいはセルロースナノファイバーといった需要に応えられるような樹種への転換を図っていくといったことを含めまして、生物多様性や、また木材の需給構造の変化に対応した多様な森づくりを進めてまいりたいと考えております。 ○五月女裕久彦 議長 齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇)
    ◆五番(齋藤剛郎議員) それでは要望させていただきます。森林の持つ公益的機能の維持・増進を図り、目的や用途に応じた多様な森づくりを推進するためには、とちぎの元気な森づくり県民税による取り組みが重要であると考えます。どうか、とちぎの元気な森づくり県民税をしっかりと見直し、現状に応じた必要な対策を積極的に講じていただけますよう要望いたしまして、次の質問に入ります。  続きまして、畜産クラスターの形成による酪農・畜産の振興についてお伺いいたします。本県は、全国有数の酪農・畜産県であり、TPPにおける関税の引き下げによる影響が懸念されている中、酪農・畜産につきましては、生産基盤の拡大等による収益力の強化を進めていく必要があります。  その有効な対策の一つとして、畜産クラスター事業があります。国の正式名称は、畜産・酪農収益力強化総合対策基金事業でありますが、畜産クラスターを形成することが必須条件であることから、畜産クラスター事業と呼ばれているところであります。  畜産クラスターとは、中核となる酪農・畜産農家を初め、関連事業者が連携・結集し、課題解決に向け一体となって、地域ぐるみで収益性を向上させることを目指す体制であります。  畜産クラスターの形成による取り組みの一例として、酪農・畜産農家と耕種農家の連携を説明いたしますと、耕種農家は水田をフル活用し、飼料用米の作付けを拡大することで水田の有効利用が図られ、また、酪農・畜産農家は、その飼料用米を使用することで、飼料費の軽減による生産コストの削減が図られ、さらには、酪農・畜産農家から生産された堆肥を耕種農家の水田で使用することで、同じく生産コストを削減するだけでなく、循環型の農業も推進される取り組みとなり、まさに地域全体の収益性向上のために大変有効な事業となるわけであります。  そこで、今後も畜産クラスターの形成を推進し、関係者一体となった課題解決を進めることが、県内の酪農・畜産の発展につながることと思いますが、県としてどのように進めていくのか、農政部長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 小林延年農政部長。    (小林延年農政部長登壇) ◎小林延年 農政部長 ただいまのご質問にお答えいたします。県では、畜産クラスター事業を活用し、地域における子牛の一元管理や未利用資源の飼料としての活用など、収益性向上の取り組みを支援しております。  本県畜産が持続的に発展していくためには、畜産農家はもとより、耕種農家や農業団体等が連携した、このような取り組みが県内各地でさらに展開されることが重要であります。  そのため今後は、セミナーの開催等による県内外の優良事例の紹介やコーディネート力の強化などにより、畜産クラスターの組織づくりを一層促進してまいります。  さらに、事業の実施に向けましては、外部専門家のアドバイスを交えながら、ICT等の新技術の導入、地域資源の有効活用による生産コストの削減・高付加価値化など、地域一帯となった取り組みとして、収益性向上につながる計画づくりを支援してまいります。 ○五月女裕久彦 議長 齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇) ◆五番(齋藤剛郎議員) これからも畜産クラスターの形成を通じて、酪農・畜産の振興にしっかりと取り組んでいただけるとの前向きなご答弁をいただきました。  それでは、ここで一点、再質問させていただきます。課題解決のための畜産クラスター事業、特に機械を導入するためのリース事業に取り組む際には、現在は四十五歳未満であること、また、後継者がいることという基準があり、後継者がいないと採択の際に不利になってしまうというお話が酪農・畜産農家から聞こえてきているところでございます。しかし、酪農・畜産だけではなく農業の現状を考えますと、五十歳でも地域では若手であり、これから最低でも十年、十五年は現役でバリバリ頑張っていけることと思います。  そこで、せっかくの熱意ある生産者を支援する事業であるわけですから、この四十五歳という年齢や後継者の条件については緩和ができないものか、農政部長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 小林延年農政部長。 ◎小林延年 農政部長 ただいまの再質問にお答えいたします。畜産クラスター事業の国庫の採択要件というのがございまして、それは施設整備事業についてでございますが、国では、経営者の年齢が四十五歳未満であること、また、後継者がいることという基準を定めているところでございます。そういった状況を考慮しまして、実は県におきましては、議員ご指摘のように機械導入のリース事業についても採択の優先順位を決定する際に、国と同様の基準を定めているということでございます。  しかしながら、実際には確かに四十五歳を過ぎても経営向上のための意欲を持っている方々はたくさんいらっしゃいます。現場からも、そうした年齢で区切るというのがいいのかどうか、そういった現在の方針について見直しを求める声があると聞いております。  そのため、現在、そうした意欲ある生産者の生産意欲に応えられるよう、要件を見直す方向で検討を進めているところでございます。 ○五月女裕久彦 議長 齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇) ◆五番(齋藤剛郎議員) 畜産クラスター事業の条件緩和につきまして、非常に前向きなご答弁をいただくことができました。  ここで、要望させていただきます。本日は酪農・畜産に特化した内容となりましたが、本県は農業大国であると思っております。全ての農業に携わる方々が満足いくような政策は、なかなか難しいこととは思いますが、これからの農業振興のために、どうかマイノリティーなご意見やご提言に耳を傾け、現場の皆様が使い勝手のよいように、栃木県版のグローバルな農業支援を行っていただくよう要望させていただき、次の質問に入ります。  続きまして、学校教育の充実について、二点お伺いいたします。まず初めに、不登校への対応についてお伺いいたします。栃木県におきましては、平成十九年度をピークに減少傾向にありました不登校児童生徒数でありますが、平成二十五年度からは増加傾向にあり、これは全国的にも同じ傾向であるとの結果が出ております。  全国的に同じ傾向であるということは、現場の先生方のご指導が不足しているといったことではなく、もっと大きな社会全体の変化や家庭環境の変化など、さまざまな要因が重なり、不登校児童生徒数が増加しているのではないかと思っております。  不登校になってしまう理由は複雑であり、それこそ個々の事例に対応しなくてはならない現場の先生方のご苦労は、十分に理解しているつもりであります。  しかし、先日の新聞報道にもありましたように、内閣府の調査結果によりますと、六カ月以上仕事や学校に行かず自宅にこもり、家族以外とほとんど交流をしない、いわゆる引きこもりの方に、そのきっかけを聞いたところ、不登校がきっかけであると回答した人が多かったことがわかり、十五歳から三十九歳の推計で実に五十四万人もの引きこもりの方がいるとの報道がなされました。  このように不登校をそのままにしておくことは決してよいことではなく、悪化してしまうケースが多い状況が浮き彫りとなりました。  そこで、要因や背景は、社会や家庭環境の変化等多岐にわたり、学校教育だけの問題ではないとしても、県として不登校への適切な対応が必要であると考えますが、どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 宇田貞夫教育長。    (宇田貞夫教育長登壇) ◎宇田貞夫 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。不登校の対策に関しましては、未然防止が重要でありますことから、県教育委員会では、いじめ・不登校等対策チームの派遣やスクールカウンセラーの配置などにより、学校への支援を行ってきたところであります。  不登校につきましては、その要因や背景がさまざまであることから、学校、家庭及び関係機関がより緊密に連携を図って対応していくことが重要であると考えています。  そのため、これまでの適応指導教室に新たな役割を持たせ、家庭訪問による学習支援や福祉部局と協力した家庭への支援を行えるよう、実践的な研究を進めているところであります。  今後、県内の各学校等へその成果を普及するとともに、市町教育委員会と連携を図りながら、学校への復帰を目指した取り組みをより一層充実してまいります。 ○五月女裕久彦 議長 齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇) ◆五番(齋藤剛郎議員) 現在、適応指導教室やスクールカウンセラーの方々などと連携をとりながら、不登校児童生徒への指導に当たられているといったご回答でございました。  そこで、それでもなお増加傾向にある不登校児童生徒について、再質問させていただきます。現在、国の超党派によるフリースクール等議員連盟の要望などを踏まえ、文部科学省においてはフリースクール等に関する検討会議が開催されており、不登校児童生徒への新たな支援を検討し始めたところであります。  フリースクールの定義は、まだしっかりと確立はしておりませんが、日本におけるフリースクールの多くは、不登校児童生徒の学校にかわる居場所や学びの場であります。  先日、とちぎ自民党議員会文教警察部会の県外視察において、NPO法人のフリースクールを見学してまいりました。まずは、学校に行かないことを否定されない場所で、ゆっくりと休息することで自己肯定感を回復すること、そして、第二段階として、学習支援、進路相談、就労支援なども行っていく、そんな場であり、まさに子供たち個々の要望や状況に合わせた指導や教育を行っており、大変感銘を受けたところであります。  今、全国的に、学校に通えなくなってしまった児童生徒に対しての受け皿として、フリースクールが注目されており、先日の新聞報道にもありましたように、小山市にも新しくフリースクールが設立されたことも記憶に新しいことと思います。  フリースクールが適応指導教室などと大きく違う点は、学校に復帰することを目的としているとは限らないということであります。学校に行きたくないという心理的要因から不登校になるわけであり、その心を救わずに、復学することが目的とならないように配慮しているとのことでありました。  誤解を招いてしまったら恐縮でございますが、私は教育委員会の既存の対応が悪いと言っているわけではありません。それこそ、教育長もおっしゃいましたように、不登校児童生徒の数だけ課題や問題があり、解決に向けての一つの選択肢として、既存の施設もしかり、フリースクール等もしかりということであります。  そこで、まさに今困っている児童生徒、そしてその保護者の皆様のためにも、不登校となってしまった児童生徒が自分自身で通う場所を選択できるように、フリースクール等との連携などについて、まずは調査研究をするお考えがないか、教育長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 宇田貞夫教育長。 ◎宇田貞夫 教育長 ただいまの再質問にお答えいたします。ただいまご指摘がありましたように、不登校児童生徒に対しましては、一人一人の状況に応じて支援していくことが何より重要でございます。そのためにも、フリースクール等との連携等のあり方につきましては、現在国でも検討が始められたということでございますので、それらを注視しながら調査研究してまいります。 ○五月女裕久彦 議長 齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇) ◆五番(齋藤剛郎議員) ぜひ、フリースクール等との新しい連携を調査研究していただきたいと思います。  ここで、要望させていただきます。学校に通うこと、それは多くの児童生徒にとっては普通のことであり、不登校児童生徒の多くもそれを望んでいることと思います。しかし、さまざまな要因により心に芽生えてしまった不登校の芽は、本人にもどうすることもできず、保護者の方はもちろん、本人が一番葛藤し、苦しんでいることと思います。一人でも多くの児童生徒の笑顔のために、これからもきめ細やかな教育行政を推進していただけますよう、強く要望いたしまして、次の質問に入ります。  それでは、最後の質問になりますが、特別支援学校における職業教育の充実についてお伺いいたします。特別支援学校は、障害のある幼児児童生徒に、幼稚園、小学校、中学校、高等学校に準じた教育を行うとともに、障害による学習上または生活上の困難を克服し、自立を図るために必要な知識技能を習得させることを目的としている学校であります。  栃木県には現在、県立特別支援学校は十六校あり、平成二十八年五月現在、幼児児童生徒数は二千五百四十五名となっております。  将来の自立した生活を送るために、特別支援学校の果たす役割は非常に大きいものがあると考えておりますが、ことしの四月には、軽度の知的障害のある生徒に対する職業的な自立支援を図ることを目的とした、本県初の高等特別支援学校である特別支援学校宇都宮青葉高等学園が開校いたしました。  この学校に対する県民の期待は非常に大きいものと認識しており、県議会におきましても、開校前より視察に伺わせていただき、先日は文教警察委員会において、生き生きと職業教育を受けている生徒の実際の様子を拝見させていただきました。職業教育を行うことは、障害のある幼児児童生徒、さらにはその保護者の皆様の大きな悩みでもあります、将来への不安、それが少しでも解消されるのではないかと、今後の取り組みに大いに期待をしているところであります。  そこで、今後は、宇都宮青葉高等学園が職業教育を含む特別支援教育に関するセンター的役割を発揮すると伺っているところでありますが、具体的にどのように各特別支援学校と連携強化を図っていくのか、教育長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 宇田貞夫教育長。    (宇田貞夫教育長登壇) ◎宇田貞夫 教育長 ただいまのご質問にお答えいたします。宇都宮青葉高等学園は、生徒の職業的な自立を目指し、企業等への就労に必要な知識及び技術の習得を図るための職業科を設置した特別支援学校であります。  同校では、清掃や販売など、実際の現場と同様の体験ができる実習室を整備し、企業等から招いた講師による専門的な助言を得て、実践的な指導に取り組んでいるところであります。  今後は、生徒一人一人の特性に応じた職業教育の充実が図れるよう、事例研究に取り組み、その成果を既存の特別支援学校へ普及してまいります。  さらに、広く県内の教員や生徒を対象とした研修会や合同の作業実習などにより、学校間の連携を強化し、県全体の職業教育のレベルアップを図ってまいります。 ○五月女裕久彦 議長 齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇) ◆五番(齋藤剛郎議員) それでは、再質問させていただきます。職業教育の先にあるもの、それは就職、そして継続的な就業であると思っております。  そこで、就労支援につきましても、職業教育同様、障害のある生徒のより多くが就職し、継続して就業できるように各特別支援学校間の連携強化を図るべきであり、そのセンター的な役割をやはり宇都宮青葉高等学園において担うべきであると考えますが、特別支援学校の就労支援についての取り組みについて、教育長にお伺いいたします。 ○五月女裕久彦 議長 宇田貞夫教育長。 ◎宇田貞夫 教育長 ただいまの再質問にお答えいたします。宇都宮青葉高等学園の開校により、県内全域でこれまで以上に実習、就職先を確保する必要が生じますことから、現在県内二校に配置しております就労支援コーディネーターによる企業開拓をより一層推進し、さらに、開拓した企業情報を宇都宮青葉高等学園が集約をして学校間での共有を図りますとともに、就労後の継続雇用に向けた支援会議の開催などにより、県全体の就労支援の充実を図ってまいります。 ○五月女裕久彦 議長 齋藤剛郎議員。    (五番 齋藤剛郎議員登壇) ◆五番(齋藤剛郎議員) 教育長より障害者の職業教育や就労支援につきまして、熱い思いと今後の取り組みについて伺いました。  それでは、要望させていただきます。障害者の就労支援につきましては、さまざまな仕組みがございます。国の制度ではございますが、障害者の就職や職場適応支援を行う、ジョブコーチと言われる職場適応援助者の支援制度も大変重要であると思います。  ジョブコーチは、障害者の就職支援はもちろん、職場に適応できるように雇用後の支援も行い、障害者本人だけではなく、事業主や従業員の皆様に対しても必要な助言を行い、障害者の職場定着を図ることを大きな目的としております。まさにこれからこのジョブコーチとしっかりとした連携を図り、特別支援学校などに通っている児童生徒が、将来安心して働き続けられるように取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。  また、県内の各圏域には、福祉・労働・教育機関等が連携し、就業と生活の両面から一体的な支援を行う障害者就業・生活支援センターもあり、そちらとの連携も非常に重要であるかと思います。  今回は、学校教育の充実というカテゴリーの中の質問でありましたが、例えば就労支援につきましては、主に産業労働観光部の所管でありますし、障害者の皆様にかかわるさまざまな施策につきましては、保健福祉部の所管であるかと思います。つまりは障害者の就職と一言で言っても、部局間を横断して取り組む必要があり、障害者の自立した生活に向けて労働局やハローワーク、障害者就業・生活支援センターや協力企業など、多くの関係機関とも連携していく必要があります。ぜひとも、しっかりと障害者の皆様とその家族に寄り添い、真心のこもった行政サービスを心がけていただけますように要望させていただきます。  さて、県議会議員として二回目の一般質問を行わせていただきました。一期二年目の若輩者といたしましては、まだまだ勉強も経験も足らず、これからもしっかりと精進していかなくてはならないと痛感しているところであります。  今回は「マイノリティーからの栃木県版グローバル」をテーマとして質問いたしました。そんな中で、本日の新聞報道にありましたように、道の駅もてぎの「ゆず塩ら~めん」が第一回全国道―1(みちワン)グランプリで初代王座に輝くという大変うれしい報道がございました。まさにこれがマイノリティーからのグローバル化であり、地域の特産品が全国的に知れ渡る事例であります。  さて、これから少子化が加速度的に進むと予測される中、私の地元那須町の現在の人口はおよそ二万六千人、栃木県の人口はおよそ二百万人であります。つまり那須町は栃木県の人口の一・三%となり、まさにマイノリティーな町となるわけであります。  しかし、数字上はそのような結果としても、二万六千人の町民の皆様にも家族があり、生活があり、そして幸せに人生を生きる権利があるのではないでしょうか。幸せというと少々ロマンチックかもしれませんが、私自身も我が子、友郎が誕生してくれたことで、日々充実し幸せな毎日を送っているところであります。  そのような小さな幸せの積み重ねが、多くの県民の皆様の利益につながることと思いますので、マイノリティーな小さな意見がしっかりとグローバルな県政へと反映されますように、私自身もしっかりと精進し、多くのマイノリティーな意見を伺わせていただき、これからも県政へと届けていきたいと思います。  どうか、執行部の皆様におかれましても、これからも、小さな意見に耳を傾けていただき、それがオール栃木として必要かつ重要な意見であれば、しっかりと県政運営へと反映させていただきますように強く要望いたしまして、私の一般質問を終了いたします。ありがとうございました。 ○五月女裕久彦 議長 お諮りいたします。あすは議案調査のため本会議を休会したいと思いますが、ご異議ありませんか。    (「異議なし」と呼ぶ者あり) ○五月女裕久彦 議長 ご異議がないと認め、そのように決定いたしました。  以上で本日の日程は終了いたしました。二十八日は定刻から本会議を開き、上程議案に対する質疑並びに県の一般事務に関する質問を行います  本日はこれで散会いたします。  午後三時五十分 散会             ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~...